9月の料理教室のメインはクスクス。
5年前に亡くなった夫が大好きだったお料理。
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<料理教室の案内文より>
暑さが残る9月は、太陽の光りがあふれる地中海沿岸の国々の料理、その中でも、わが家の看板料理の一つのクスクス<令和バージョン>をご紹介したく思います。(昭和・平成と紹介してきました。)
アルジェリア、チュニジア、モロッコの「おでん/ぶっかけごはん」のような庶民料理、エキゾチックな中東風の香りが魅力です。羊肉を使わずに、身近な食材でコクのある煮込みに仕上げます。前菜には、カリフラワーやエビのギリシャ風のマリネ。クリスマスやお正月の持ち寄りなどでも好評の一品です。最後は、地中海沿岸が起源の果物イチジクを使ったデザートで締めくくる予定です。
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三回の教室が無事に終わりました。
どのクラスにも、クスクスは初めてという方がいましたが、とても好評。
「想像していたものと全然違うけどおいしい!」
「初めてなのに、なぜか懐かしさを感じる味」
「すごくたべやすい」
「確かにおでんみたい。大根が何気においしい」
「野菜も肉もいっぱいの完全食でいいわ~」
ヨカッタ、ヨカッタ! \(^o^)/
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最後は、
夫が亡くなった5ヵ月後に「食」という課題で書いた400字指定のエッセーを。
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「夫とクスクス」
結婚して間もない頃、夫が突然「クスクスが食べたい」という。思わず聞き返す私に、丁寧に説明してくれる。マグレブ(北アフリカ地方)の庶民料理とのこと。粟のような小粒のパスタ、独特のスパイスの香り、羊肉入りと聞いて、想像と創作の範囲を超えていると諦めた。七年後、ある外国の地で、お昼においしいクスクスを食べたと、帰宅するや夫は嬉しそうにいう。さっそく食べに連れて行ってくれた。なるほど香りと食感が何とも言えない。その日から台所で試行錯誤が始まった。やっと完成した私のレシピは、珍しもの好きの友人たちには大好評となる。
それから三十年のち、有名仏人シェフを夫に持つ友人が、自宅でご主人特製のクスクスをご馳走してくださる。私が「我が家では『マグレブのおでん』とよんで夫の大好物なのよ」と話したのがきっかけで実現した夕べ。長い道のりの末、夫と私は柔らかく煮えた大根も入った絶品のクスクスをほおばった。