台風19号がもたらした甚大な被害と、
ラグビー日本代表の感動的な勝利。
「前代未聞」「記録的」という言葉が、これほどまでも同時に、両極端の意味合いで使われ、そして、私たち日本人の喜怒哀楽の感情を揺さぶった週末はなかったのではないでしょうか。
大地震、台風による土砂崩れ、河川氾濫、火山噴火などの自然災害による悲しみを越えた辛い記憶は、近年だけでも数多くありました。
一昨日、東日本の広範囲の河川周辺地域に残した台風の禍根の大きさは、時間を追うごとに明らかになり、そこで生活を営む方々の気持ちに思いを馳せると心が痛みます。家族の歴史が刻まれた家、土地、品々。生計のもととなる田畑や事業所が、一夜にして名実ともに流されてしまう衝撃と悲しさ…。
東日本大震災のときと同様に、拳を振り上げて天を仰ぎつつ、心のなかで涙を流しながら悲嘆に暮れていることでしょう。お気の毒でねぎらう言葉がみつかりません。
そうした中、昨晩のラグビーは、手に汗を握る感動的なすばらしい試合でした。
このような時だから尚更、試合後の複数の選手たちの口から放たれた言葉が心に響きました。
被災者たちへのお見舞いと激励に加えて、
「多くのものを犠牲にして頑張ってきた」
その結果として勝ち取った歴史的な勝利、偶然ではなく必然だったのでしょう。
「犠牲」という言葉の裏には、想像を越える辛く辛く長い道のりがあったのでしょう。
でも、その犠牲と努力が報われた、と。
昨晩、選手たちが証明してくれたこの事実は、今回の災害を始め、多くの被災者、多くの日本人にこれ以上ないエール、勇気と希望を与えてくれたと感動を深めています。
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