60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

揮毫

細々と書道を続けている。
新年の一回目の教室では、先生が生徒一人一人に、希望した字や言葉を葉書に書いてくださる。
「私から皆さんへの新年のささやかなプレゼントです」とおっしゃりながら。

今年の抱負、座右の銘、一文字、和歌、等々、皆それぞれに決め、その言葉に合う葉書も用意して先生にお願いする。
先生は、手渡された葉書の色合いや絵柄、生徒さんの技量や個性などすべてを考慮されて、揮毫(キゴウ)してくださる。
全く違った作風の見事な作品が、次々と生まれる過程を、毎年のことながら、感嘆しながら拝見させていただく。

私は、脈絡もないままに、年明けに頭に浮かんだ願いや思いを言葉にして、毎年お願いさせていただいている。

そして今年。
自分では情けないほど稚拙にしか書けなかった下書きをお見せすると、先生はじっと眺められたのち、「この字と、字の配置を考えると…(あなたの葉書は向いていませんね)。葉書を変えましょう」と言われ、ご自身の特別な画仙紙の葉書を一枚出された。そしておもむろに筆を手に取られ、生徒の私たちが息をのんで見守るなか、たちまち素晴らしい作品に仕上げてくださった。
「和」の字の墨のにじみが、なんとも言えない味わい深さを醸し出していた。

私の「ねがい」が「かたち」になった瞬間だった。

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