[手前から、ユングフラウ、メンヒ、アイガー]
[アイガー北壁]
10年前のの1月に撮った写真。
夫は、来客などの仕事がなく、よほどの悪天候でないかぎり、毎週末のように、コンディションと天気がベストなスキー場を選んでは、私を引き連れて滑りに出掛けた。
どのように選ぶか、説明が少し必要だ。
(日本のスキー場事情に疎いので、当たり前のことばかりかもしれないが。)
10年前であっても、スイスでは主だった山岳リゾート地には、WebCamが設置されていた。現地のオンタイムの天気がわかるように何ヵ所かの頂上付近にカメラが設置されてインターネット配信されていた。
スキーをこよなく愛していた夫は、週の後半になると、グリンデルワルトを中心にベルンから日帰りできるエリアの天気予報をチェックし始める。
そしてスキーの候補地を絞り混む。
週末当日の朝、明るくなると(東京よりも冬の朝が明けるのが少し遅い)、候補地のWebCamをチェックする。
グリンデルワルトのようにスキー場(リゾート地)の規模が大きいと、スキーのドメインがいくつかに別れている。ひとつのドメインで十二分に滑れるゲレンデの数と広さがある。リフト券はドメイン毎に売られているし、そもそも、別のドメインに移動するには、スキー靴を脱いで、車で移動する必要があるので、そのようなことをする人はまずいない。
自ずと、WebCamは、それぞれのドメインのようすがわかるようにいくつも設置されている。
快晴の日はどこも同じだか、曇りの日など、谷やゲレンデの向きで天気や視界が違う。
ヨーロッパ大陸のほぼ真ん中に位置し、高い山々が連なるスイスでは、天気はmicro-climateだとよくスイス人に言われた。谷ひとつ隔てて、いや、もっと局部的に(マイクロ)天気は異なると。
ほとんどの場合、夫の行き先はグリンデルワルト。その中でどのドメインが一番良さそうかを選ぶ。
そして8時半頃までに出発する。
とてもよいお天気の日は、駐車場が混雑するので、もっと早く出発する。
一枚目の写真のドメインはシルトホーン。特に素晴らしい天気の日だった。
頂上の展望台から滑り降りる一番急な斜面の上から、ラウターブルンネンの谷を隔てて、ベルナーアルプス三山を望む。
この日にこの斜面に立ち、満面の笑みを浮かべる夫の写真がある。数ある写真の中でも夫のお気に入りのひとつだった。
2枚目は、近隣国から友人夫妻がグリンデルワルト泊でスキーに来たとき。私たちは週末二日続けてベルンから往復した。
なので、天候は二の次。メンリッヘンのドメイン内の、アイガー北壁を望むレストランで昼食休憩中。(室内の席もあるが、みなスキーウェアを着用しているので、外の席の方が真冬でも人気がある。)
ベルンに住んでいたので、かかる費用はガソリン代とリフト券と昼食代だけ。(高速道路は、年間使用料(確か一万円程度)を払うだけで一年中スイス全土走り放題)。
今の東京生活とは別次元の世界に生きていたものだと改めて思う。