冬のサース・フェーの氷河について書いたが、夏にも何回かトレッキングで訪れている。
スキーのときと同じところを歩いたので、夏も解けずに残っている氷河の全景を間近に見ることができた。冬は一面雪に覆われているので、先述のように、冷たく青光りして顔を出しているところが見えるだけだった。
夏に初めて氷河を近くで見たときの第一印象は、
「きたない色をしているな~」
とネガティブなもの。
周りの岩場の泥や砂、その上、大気の汚れも降り積もっているのだろうか、汚れている。
普通の雪解けと同じように夏の氷河は層の下の方から解けていく。表面はたいして解けないので、どんどん汚れていく。
特に、氷河の先端部分は、ぼろ雑巾のような悲しい姿だ。
[氷河の成れの果ての、もっともっとひどい姿も見ている。とりあえず、これはサース・フェーで見たもの]
地球温暖化の影響で、近年、危機的な早さで氷河が解けて消滅していっていると聞く。サースフェを訪れてから10年が経とうとしている。
この悲しい姿が、スイスのあちこちで、更に露呈していると思うと心が痛む。
素人が書くことなので、不明瞭かつ間違えがあるかもしれないがーー
氷河期には、山々でできた氷河が歳月をかけてゆっくりと斜面を滑り降り、谷まで氷河で覆いつくされた。
そして、谷底を削りながら、ゆっくりと氷の河は「流れて」進んだ。
宇宙の何億光年という天文学的数字に比べれば短いが、氷河は、地球の歴史の中で、人間の想像をはるか超える長い時間をかけて作られてきた遺構なのだ。
スイス各地で氷河を間近に見るたびに、地球の歴史に思いを馳せ、様々な思いが心をよぎったものだ。
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※ちなみに、サッカー日本代表は、2010年のワールドカップ直前にサース・フェーで合宿をしている。
その時のことについて書いたブログを紹介。
「ヤタガラスとスイス」
https://bistrotkenwood.hatenablog.com/entry/2019/10/24/221731