60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

Simple is best !

祝日の昨晩、母と夕食を共にした。
教室開催のあと、なるべく一緒に食事をするようにしている。といってもごく普通の週末ご飯。

昨日は珍しく、アメリカン・ステーキディナーに。
両親と共にアメリカに二回暮らしているので、母も私も輸入肉に抵抗がない。むしろ、懐かしさすら感じる。

しかし、やみくもに買うわけではない。
肉をよく観察して「今日のはイケル!」と思ったときに限る。
肉汁が出ていなく、キメが細かく、すっきりと身がしまっている肉の時だ。

アメリカ開拓者時代の名残のLodgeの鋳型の大きいフライパンと、肉調理用のフォークが久々に登場した。
大きめのサーロインも難なく二枚焼ける。
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肉にペティナイフで何ヵ所か切り込みを入れてにんにくの薄切りを差し込んで粗挽き黒胡椒をふる。そのまま室温で一時間以上。

付け合わせは、ジャガイモと生クリームのシンプルグラタン。
こちらはフランスの定番中の定番の付け合わせだ。
30年以上前に買ったクルーゼの、鋳型にホーローのグラタン皿を使うとひと味おいしくできる(気がする)。だが、キッチンの変化と共に今ではパリでも売っていない。(レンジ対応の陶製にかわってしまった)
あとは、温野菜のソテー。前菜には、おいしいアボカドを見つけたので、シーフードサラダをアレンジ。

前菜を食べている間、弱火でじっくりフライパンを暖めておく。テフロンではないから、火にかけたままでも問題ない。

焼く直前にヒマラヤの岩塩を両面にふり、サラダ油とバターを入れて中強火で焼き始める。分厚い鉄が熱をしっかりと蓄えているから、表面が香ばしく焼けていく。もちろん、途中でいじったりしない。
ころあいをみてひっくり返し、裏面は短めに、だけど焼き色がつくように仕上げる。

グラタンを取り出したオーブンの余熱で温めておいたミート皿にステーキをのせたら、すぐに食卓に!
これぞアメリカ!という柄の母の古い皿。
母は、ステーキがのった懐かい皿を嬉しそうに眺める。

付け合わせをステーキの横に取り、銘々のミートナイフで一口目を切る。よく切れるナイフだから、肉がつぶれて肉汁が出ることなくスパッと切れる。これも大切。和牛のように「箸で切れる柔らかさ」とはほど遠い肉だから。
一口頬張って、母も私も、「あら!(思ったよりずっと)おいしいわね😋🍴💕」

和牛のような上等な旨みは全くないのに、別のおいしさがある。もちろんあくまでもお惣菜レベルの話だ。
焼けた表面の香ばしさ、肉全体にじわりと広がるにんにくの香り。
フランス式に粒マスタードを用意したが、必要ない。ヒマラヤ塩がいい仕事をしている。
岩塩はステーキに合うというが、なるほどと思う。

三口ほど食べた母曰く、
「こういうのを食べると、身体中の細胞がシャキッとするのを感じるわ♪」
88歳とは思えない勢いで、大好きなジャガイモや温野菜と共にもりもりと食べている。

しばらくすると、母は、私が小学校低学年だった1960年代のニューヨークで、現地在住のMさん家族に連れていっていただいたステーキハウスの話を始めた。
人生で一番おいしいステーキだったというのだ。
もっともっと上等なステーキをその後食べているはずなのに。

過去も現在も、

Simple is best ‼️

そして、

古きよき道具の威力!

とつくづく思った。
料理教室は必要ないかも…、とも 😅