書道教室の「老いのお手本」の95歳・男性のAさんが、珍しく四文字熟語を自分から指定して、先生にお手本を依頼された。
「千客万来」
禅僧のような、「刻苦勉励」のイメージが強いAさんらしからぬリクエストだと、先生ともども皆が思った。
先生が尋ねると、親戚の息子さんが、近々、日本料理のお店を開くので、お祝いに色紙に書いて贈りたいとのこと。
みんなで納得した。
先生は、Aさんが書きやすい書体で、二種類のお手本を書かれた。
更に、粋な字でもう一枚。
最後のお手本が一番いいと、Aさんもみんなも思ったが、一番難しい。
「色紙だから、一発勝負。
失敗できないからね~」とAさん。
「足るを知る」質素な生活を営まれているAさん。
きっと、たくさんの練習を重ねて「一発」で仕上げられることだろう。
95歳で色紙を書いて贈ろうと考えること自体すごいことだと思う。
今回も新たに、Aさんの言動に頭が下がった。
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前回、掲載しそびれたAさんからいただいたお手紙をここで紹介したいと思う。
12月のAさんのお誕生日に近いお稽古の日に、京都のおいしい佃煮とともに、その包装紙の中にきちんと添えられていたのだ。
「この12月 誕生日を迎えて あと五年となりました。
今の幸せが そのまま続きますようにと祈ります。
そして 自由気ままに老いていくことの
この時世 究極の贅沢を満喫していきたいと思います。
健 康 長 寿
百 歳 に 挑 む
令和元年十二月吉日」
お見事!
ぜひぜひ百歳成就してくださいね♪
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「老いのお手本②」
https://bistrotkenwood.hatenablog.com/entry/2020/02/03/204300