60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

コクリコ(Les Coquelicots)

パリのオルセー美術館に、クロード・モネによる「コクリコ(=ひなげし)」という絵がある。野生のひなげしが咲く丘を描いた絵。その中を歩く母親らしき女性と子どもが小さく描きこまれている。主役はあくまでタイトルが示す通り、ひなげし。オルセー美術館を訪れるたびに、しばし足を止めて見入る絵だった。春のそよ風に、花たちが揺れているように見える。

フランスで春をかろうじて二度迎えたが、モネが描いたような、ひなげしが咲きほこる丘に巡りあう機会とゆとりは残念ながらなかった。しかし、パリから日帰りドライブに出かけると、道端に、宙に浮くように咲く赤い花をみることがしばしばあった。初めて見た時、「モネが描いたコクリコはこの花だったんだ!」とうれしくなった。

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さて、こちらは近所の空き地に雑草として咲く花。明らかにケシ科の花だ。だが、フランスのコクリコよりもかなり小ぶりで色も淡い。

巨匠モネとその名画に対して失礼と思いつつ、空き地の前を通るたびに、大好きだった絵を思い出す。しかしながら、この空き地にカメラを向ける物好きはたぶん私以外いないだろう。普通の住宅街ゆえ、雑草畑を取り囲む景色は、名画と似て非なる「ざんねんな」風景だからだ。(更に、なんとも興ざめなことに、正面の新築中の現場に、青い簡易トイレが据えられているのだ!😅💦)

それでも、群生して咲くこの花にだけ焦点を合わせて眺め入ると、コクリコの従妹たちは、私の心をパリ郊外の田園風景の中へとワープさせてくれる。そして、周りにとらわれずに夢想している自分がいる。

ーーだが、我に返ったとき、我ながら、たいした想像力だと苦笑してしまう。(´∀`*)