60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

成年後見人として、母として

「お母さんは、Yさん(娘の名前)との幸せな時間と思い出をたくさん作ってあげてください」

「お母さんがYさんと楽しく過ごせる時間は、そんなに長く残されているわけではないんですよ」

「お金を残しても、Yさんに幸せをたくさん残したことになりません」

「それよりもお母さんと一緒に楽しいことをしたという思い出の方がずっと大切なのです」

ーーこれは今日、娘の成年後見の監督人X氏から聞いた言葉だ。2014年に夫が亡くなった翌年、私は娘の成年後見人(保佐人)になった。私の偏った知識かもしれないが、後見人になることによって娘を守れるのではないかと思ったからだ。私からの申し立てに対して家庭裁判所は、私を保佐人に選任してくれたが、同時に一人の司法書士を監督人として指定してきた。X氏だ。それ以来、家裁への毎年の報告書の作成・提出業務を委託している。

こうした事務手続きに留まらず、監督人の仕事は、後見を受ける本人の権利を守り、擁護することだ。X氏の言葉を借りれば「Yさんがなるべく幸せな人生を送れるようにしてあげるのが自分の仕事」ということだ。

最近のその良い例が、娘に振り込まれた特別給付金の使途についてだった。申請用紙が地元自治体から届く時期にX氏から電話が入り、「振り込まれた10万円は、全額引き出してYさんにわたしてあげてくださいね。これはYさんのお金ですから。コロナでいろいろな我慢を強いられ、不利益を被っていたと思うので、Yさんが楽しいことに自由に使っていいお金なのです」「お母さんがYさんの口座に貯金しておくというのはだめですよ」といわれた。

そして今日の電話によって、10万円を「楽しいことに使う」と述べたX氏の根底にある考えが更によくわかった。「そういうことだったのだ」とたくさんの気づきを得た会話となった。

X氏は更に、「Yさんが歳をとって施設で暮らすようになったとき、単調な生活の中で一番大切な心のよりどころとなるのは、お母さんや家族との幸せな思い出がたくさんあることです。『マッチ売りの少女』ではないけれど、ふとしたときに、ポッと幸せな光景や思い出がよみがえり、しばらくの間でも幸せな気持ちになれることなんです」

ーー「あなたがYさんと幸せに過ごせる時間はそう長くはない」という言葉とともに、ハッとさせられた言葉だった。

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季節外れですが『マッチ売りの少女』と聞いて思わず…