大雨の被害が依然と続き、感染拡大に伴うGo Toキャンペーンの迷走とともに、日本列島は大きく揺れている。今日の「海の日」も、本来ならばオリンピック開幕を記念する明日の「スポーツの日」も、なんともむなしく響くばかりである。
しかし自然の生き物たちは、人間世界の杞憂と関係なく、季節と気候の変化に順応しながらその営みを続けている。
大粒の雨が激しく降った後の昨日の夕方、ウォーキングのためにいつものルートで池に向かった。家から早足で2分、木々が茂った坂道を下ると池のある公園に着く。池の周りを歩き始めようとしたものの、舗装されていない遊歩道は、午後の雨で至るところに水たまりができていた。早足でまっすぐ歩けないので、公園に沿って伸びる一方通行の細い車道を歩くことにする。すると10mも歩かないうちに前方にゴソゴソと動くカルガモの集団。1、2、3、…6羽、カルガモの親子たちだ!道端のぐっしょり濡れた落ち葉の下にくちばしを突っ込み、せわしなくつついて食べている。樹木の下と違い、コンクリートの縁石沿いなのでミミズはいない。せいぜいダンゴムシや小さい虫たちだろう。ガサゴソ、ガサゴソ。しかし、一羽だけ、潜水艦の潜望鏡のごとく首を長くのばして周囲に目を光らせている。お母さんガモだ。若鳥たちが夢中で食べている間、危険が迫ってないか警戒しているのだ。若鳥たちは大きさも、羽の生え方も、ほとんど親鳥と見分けがつかなくなっているが、この我が子を守る姿で、母鳥をすぐに識別できる。
時折、ジョッギングや犬の散歩で人が通る。犬がいようがお構いなしで食べ続ける若鳥、平然と見送るお母さん。しかし、距離なのか、人間や犬の動きなのか、突然、まっすぐに立っていたお母さんの首が「侵略者」に向かって斜めに伸び、低めの声を数回発して威嚇するときがある。しかし、走る人にも犬にも、全くの脅威にならないので、無視して通過していってしまう。真剣そのもののお母さんガモには申し訳ないが、どこか愛嬌がある仕草で、思わず微笑んでしまう。
同時に今回もまた、自然界の生き物たちの母性本能に心打たれた。