60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

胡蝶蘭

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7月の料理教室での名脇役は胡蝶蘭だった。純白の花が、地元の花屋で巨大なモンステラとセットになってリーズナブルな価格で出ていた。タイ料理を教える6、7月は南国の花でテーブルを飾るようにしているので、この幸運な出会いに、迷うことなく求めた。
高級花慣れしていないので、不出来なアレンジとなってしまったが、「腐っても鯛」ならぬ「下手でも胡蝶蘭」。抜群の存在感だった。
教室終了後、テーブルアレンジを片付けてから一人ご飯を食べていたとき、ふと、ただ一輪残っていた目の前の花に目が止まった。優美な自然のフォルムにしばし見入った。深窓の令嬢のような花なので、こんなに至近距離で細部まで愛でたのは初めてだということに気づいた。見事だ。
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それにしても、私のような者がこのような機会を得られた背景には、蘭の栽培農家のコロナによる苦渋の選択があったのだと思う。丹精込めて育て上げた多くの高級な花や食材が、コロナのために行き場を失ってしまったときく。生産者の経済的ダメージは計り知れない。失意と無念さを思うと言葉にならない。
せめてこの高貴な花と生産者に敬意を表しなくてはと思い、教室のない日は苦心しながら冷蔵庫で保管し、その気品あふれる美しさを、教室に参加された皆さんと共に贅沢に堪能させていただいた。