60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

斜陽

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澄みわたる秋空が二日間続いた昨夕、窓辺で久々に咲いたゼラニウムに秋の陽が射しかかる姿は、息を呑むほど美しかった。フェルトのように厚みがある葉まで透けてみえたのは驚きだった。夏の熱を帯びた日差しとは別次元の、透視するかのような光線に感じられた。

明日の日曜日の料理教室を控え、昨日から週明けまで、初めて母にショートステイしてもらうことにした。土・日の食事を始め、母に十分対応する時間が取れそうもないと思ったからだ。

木曜日には、大学病院へ付き添った。9月に手術した足の疾患がようやく治り、再発防止のための靴をフットケア外来で特注した。「自分の足で歩ける寿命」が少しでも延びることを願いたい。
治療と並行して、現在、海外在住の兄夫婦と相談しながら、母のホーム入居を検討し始めた。具体化に向けてなにかと忙しい。
85歳を過ぎると、半年単位で階段を一段下るように老いていくと、人生の先輩たちから聞いたことがあるが、その言葉を今年ほど実感したことはない。

いかに老いるか?
間近で母の老いに伴走するにつけ、自分自身の老いと 終の棲みかついても考えてしまう。
「死の哲学」をライフワークとされたデーケン神父様のご逝去以来、母と私の「これから先」について思い悩む日々だ。

秋の陽に輝く今期最後のゼラニウムに心を揺さぶられたのは、母と私の人生と、6年前にこの世を去った夫の最期に思いを巡らしながら眺めたからだったのだろう。

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老夫婦を描いたアカデミー賞受賞作品「黄昏」という映画があったと思う。若き日にみたこの映画をふと思い出し、無性に観てみたくなった。

「デーケン先生のご著書」
https://bistrotkenwood.hatenablog.com/entry/2020/09/17/093951