60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

外の世界

外の世界に触れることは大切なことだ。コロナの第三波が深刻さを増す中での外出について書くのは少し憚られるが、、昨日、久しぶりに電車に乗り、住宅街に住む若いフランス人Sさんの家を訪問した。10ヵ月ぶりにフランス語会話グループの集まりがあったからだ。前回はバレンタイン直前で14人近くでSさんの食卓を囲んだ。今回は半分の人数。

「更にカジュアルなバレンタイン」

https://bistrotkenwood.hatenablog.com/entry/2020/02/16/231309

怠け者のわたしは、この期間一度もフランス語を使わなかったので、正直なところ、昨日の朝の足取りは重かった。しかし、帰りは、仏語は錆び付いたままだったが、充実感に満たされていた。

Sさんは4歳から13歳までの4児の若いママ。それにもかかわらず、会話グループのネイティブ代表を引き受けて下さっている。毎年クリスマスには、代表の方が自宅に招いてくださる。子育て環境を重視するSさんは、多くの外国人が住む都心エリアから離れた閑静な住宅街に住んでいる。

すっきりと広いリビングのコーナーに、子どもたちが飾った、ブルーの電飾がすてきな大きなクリスマスツリー。「ウチは、ホンモノではなく人工のモミの木なの、あしからずね」とSさん。自然のモミの木がレアな日本に住む者としては、そのコメント自体が意外だった。プラスチックにくるまれた鏡餅を飾ることに、私たちがうしろめたさを覚えるような感覚なのかもしれない。

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今回もまた、白い紙皿紙コップ、インスタントコーヒーとティーバッグ。皆でテーブルをゆったり囲み、1時間半いろいろな話に花が咲いた。コロナのこと、昨日亡くなったジスカール・デスタン元大統領、Sさん家族の日本の地方旅行の話などなど。北海道旅行をした時の話など、日本人の私たちが知らないことばかりだった。小さい子連れの旅なので大型自家用車で仙台まで行って、そこからは夜行カーフェリー。目が覚めると目的地に到着しているという。こんな旅の手段があったんだ!と感心。

11時を過ぎた頃、ご主人がコーヒーブレイクで現れた。春以降ずっとリモートワークされているという。コーヒカップを片手にご主人は立ったまま私たちの会話に参加。

「テレワークに不自由を感じませんか?」と誰かが質問した時の答えが興味深かった。まず在宅ワークの利点をいくつか挙げたあと、

「うちの会社では、リモート会議は、(カメラを使わず)音声だけでやるんですが…」

「日本人相手の場合、なかなか難しい。はっきりと意思表示をしてくれないから」「会議室だったら、自分の意見に反対の場合など、首を傾げたりするから、相手の賛否が読めるけれど、音声会議ではそうはいかない。」

「みなに意見を求めても、戻ってくるのは沈黙だけだったりする…」

ーーわかるわかる、なるほどね〜、とうなずいた。

わたし自身、ただでさえ狭い世界の中で暮している上に、今年のコロナと、母の度重なる疾患で、極めて限定的な空間で暮している。Sさんの旅の話も、ご主人の話も、他の日本人メンバーの話も、全て新鮮に感じられた。

現在の状況では、外へと繰り出す機会は非常に限られてしまうが、せめて心の窓を開き、広い視野を失わないようにしなくては!とつくづくと思った半日となった。