60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

葡萄のつぼみ

昨年の夏前にぶどうの苗を買ってきて玄関脇の大きめの鉢に植えた。高さ50cmあまり、未熟な房を3つほど付けていた。しかし、葡萄の実にはそれほど関心はなく、むしろ葉に惹かれていた。前々から料理教室で、ぶどうの葉をあしらいに使ってみたいと思っていたのだ。しかし、コロナと母の入院などで教室の中止が相次いだため、残念ながら実用には至らなかった。

晩秋に葉を落とし、Y字の細い枝だけで冬を越した苗は、4月の初め頃から、枝の節々で芽が膨らみ始めた。1週間前、近づいてよく見たら、葉が数枚しか芽吹いていないのに、ミニチュアの葡萄の形のつぼみがいくつもついていた!

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当たり前のことながら、この形の蕾をつけて花を咲かせるから、私の知る葡萄の実がなるのだとこの時初めて納得した。

その数日後、ネット上で衝撃的なニュースが目に飛び込んできた。日本語版のCNNニュース。
https://www.google.co.jp/amp/s/www.cnn.co.jp/amp/article/35169385.html

フランスで、遅い霜に見舞われ、芽吹いたばかりの葡萄の芽のほとんどがやられてしまったそうだ。今年の収穫は壊滅的になりそうだという。
ローヌ、ボルドー、ブルゴーニュ、ロワール、シャンパーニュ、プロヴァンス…。こんなに広範囲に!と、記事を読みながら眼を疑った。夏に葉が青々としげる葡萄畑の中を、秋に黄金色に輝く丘を、車で走った思い出が脳裏に浮かぶ。
同時に、先週発見したばかりの「葡萄の赤ちゃん」のかわいい姿。
赤ちゃんを守る葉がまだ十分に育っていないところに、凍てつく霜が直撃してしまったらひとたまりもないことが想像できた。

日本に例えれば、日本中の米どころの田んぼが、わずか1-2日の天災によって壊滅的な被害を受け、その秋の全国の米の収穫が激減するような感覚だと思う。
ただでさえ、コロナで多大なダメージを受けているところに、天はなんと無慈悲な試練をフランス国民に与えたことだろう。

「他国の被害を心配している場合じゃない!」とのお叱りを受けそうだが、心の中で、この無情な追い討ちに涙が流れた。

自然現象を前にして、人間はかくも非力なのだ…