60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

ドミニク・ブシェ・トーキョー

先週の木曜日に、遠方から上京した亡夫の従妹を銀座一丁目にある隠れ家的レストラン、ドミニク・ブシェ・トーキョーに案内し、6年ぶりの再会を果たせた。

ドミニク・ブシェは、フランスでミシュランの星を数多く獲得しているシェフ。奥様の百合子さんとは、我が家の長男を通じて思いがけないご縁で繋がっていたこともあり、パリでは親しくさせていただいた。百合子さんは、ドミニクのマダム役をエレガントにこなしつつ、パリを拠点に執筆活動をされている。
パリでの交流はここでは割愛し、ときは帰国後の2014年3月に飛ぶ。余命宣告されていた夫が退院して仕事復帰した二週間後に、私たち家族はドミニクの、当時は五丁目にあった店に集まった。夫の63歳の誕生日を祝うためだ。家族の誕生日を外のレストランで祝ったのは、後にも先にもこの時しかない。
東京に滞在中だったドミニク夫妻も出迎えてくださり、忘れられない時を過ごした。夫と私ににとってはまさに「最後の晩餐」。
ソースの味を大切にした王道フレンチを踏襲しつつも、現代の感性へと昇華させた、ドミニクならではの素晴らしいコースだった。
肉料理が特に思い出深い。食事制限がある中、夫がぜひ食べたいとラムをリクエストし、家族全員で絶品のラム料理を堪能した。その夜の夫は、病人から、かつての元気だった姿に戻り、お店から帰宅してもなお、饒舌にその日の感動やヨーロッパの思い出を語り続けた。おいしい食事と(🍷と)それを楽しむ空間は、かくも人を心身ともに甦らせるものなのかと驚いたほどだ。

それから7年。偶然にもメニューの肉料理はラムのローストだった!その上、供されたローストには上品なクスクスまで添えてあった。夫の大好物だったクスクス。ただ「こんな上品なのはクスクスじゃないよ」と、庶民的なガッツリ系のクスクスを好んだ夫は言ったにちがいないが、(笑)。
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「あの日」を思い出しながら、再びドミニクの店で、夫の従妹と、かつての出会いを語りながら、ふくよかな旨みのラム料理を頬ばった。

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[思い出としてはラムに軍配が上がるが、味のマリアージュで一番感動したのは、穴子料理。穴子、フォアグラ、冬瓜の絶妙な香りと食感が、ソース・マトロートという絶品のソースで至福の味にまとめ上げられていたのだ]
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[もちろん、目でもたくさん楽しませてくれた。ズワイガニの前菜↑↑から、最後のプチスイーツまで💕]