60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

英国のタータンチェック

前回のブログでタータンチェックが今年のクリスマスのテーマになり、私が赤ん坊の頃のブランケット(母は毛布のことをよくそのように呼んでいたのを思い出した)まで登場させたと書いた。
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夏でも肌寒いイギリスでは、毛布は、その昔、一般家庭の必需品だったらしい。室内での用途はもちろん、ピクニックの時の敷物にもなったと、母は話していた。
フワフワというよりもむしろゴワゴワした風合いで、縁はそのままフリンジ仕上げになっている。この素朴さと丈夫さがいい。だから擦りきれていても今だに健在で味わいがあるのだ。
今回、端の方をめくったら、古びたラベルに「Jaeger all wool」と記されていた。イギリスの老舗の服飾メーカー。クラシックな字体と共に1950年代の人々の生活様式を垣間見た気がした。

今月の教室で、もうひとつ陽の目を見たのはキルトのスカートだ。80年代にロンドンに旅したときにハロッズで奮発して買ったもの。英国王室御用達のキンロック・アンダーソンという銘柄。ウエストとサイドの留めベルトは牛革、スカート専用のピンは母からもらったもの。生地は厚地なのに柔らかく、優しい風合い。
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還暦過ぎて着てみると、体に馴染んで気持ちよく、そしてとても暖かい。伝統的なもののよさに気づかされた。別の色のものを「古くさい」と思ってこの一枚だけ残して処分してしまったのが悔やまれる。

毎年、遊び感覚でテーマを決めてクリスマスの飾りつけをするのだが、家の中に眠っていた思い出の品や、転がっているガラクタがコラボして、思わぬ視覚的ハーモニーを織り成してくれるのが楽しいし嬉しい。
これも60過ぎのお一人様のセレモニーの一部だ。サヨナラする日がくる前に、いま一度、線香花火のように輝かせてあげ、そして記録に残そうと思うのだ。