60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

不思議な縁の若い友

思いがけないうれしいメールが届いた。
不思議な縁でつながっているMOさんからだ。
娘よりも若い30代。Mさんは、夫が癌で入院していた病院の医療ソーシャルワーカーだった。夫が、残された時間を自宅に戻って過ごすと決めたとき、地元の医療機関などへの橋渡しを万全に調え、重篤な夫がストレスなく帰宅できるよう手配をしてくださった。その準備のため、病院で私たち夫婦と彼女が会ったのは退院一週間前くらいからわずか数回だけだったと思う。

それなのに、夫が亡くなってまもなく8年となる今まで、Mさんとの交流が続いている。夫が亡くなったのち、幾度か会い、我が家にも遊びに来て、娘にも母にも会ってくださっている。
ここ数年は年賀状のやり取り程度だった。結婚報告の年賀状が届いたときは喜び、祝福の言葉を送った。
そして昨日、なが~い近況報告のメールを送ってくださった。暮れに第二子を出産し二児の母になったという。姪のことのようにうれしい。

夫の退院のときに戻る。
思い返せば彼女と接した時間は極めて短かった。だが、その一刻一刻は真剣で濃密なものだった。
退院の日、「この運転手さんはこの仕事をしている人の中でもピカイチなんです」と言って介護タクシーの運転手さんを紹介し、夫が車イスで乗り込むところまで見送ってくださった。
最後に私が乗車する直前に、Mさんと私は、互いに目を見つめあい、どちらからともなく手を差し出してかたく握手を交わした。なんと言ったか覚えていない。その一瞬の互いの掌の熱量にすべてが込められていた。
それから20日後、夫は亡くなった。

しばらくのちにお礼の手紙を彼女に書いた。私たち夫婦が幸せな最後の三週間を手に入れられたのは、ドクターたちのご尽力はもちろんだが、彼女のお陰だと思ったからだ。
更に半年以上経ってから私たちは再会した。そのとき以来、ゆるりとした付き合いが続いている。
ここ数年の間に結婚、退職、年子の出産と、Mさんのライフステージは大きく変わった。二児の母となって育児を楽しんでいるのが文面から伝わってくる。さらに、国家資格取得のための勉強まで始めているという。キャリアアップや焦りからではなく、彼女は純粋に天職と捉えているからなのだ。

優秀な女性のキャリアと結婚、育児や家事などのライフワークバランスについて、最近、私の周りの「バァバ集団」の間では度々話題になる。専業主婦だった私たち世代と違い、このバランスを取るのがとても難しいと。
どう考えても絶対にたいへんな筈なのに、こんなにも自然体で伸びやかに、難しいバランスをとることに成功しているMさんに驚嘆し、拍手喝采。たくさんのエネルギーと刺激にも感謝!

夫は最後まで運がいい人だと思ったものだが、改めてMさんとのめぐりあいは、私たち夫婦にとって、そしてその後の独りの人生を歩んでいる私にとっても、この上なくラッキーなことだとつくづくと思う。
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