11月は誕生月だった。今年はいつもより特別なものになった。
まずは、あまり喜ばしくないが正規の高齢者になった。区役所その他機関から様々な書類が届き、その現実を突きつけられている。
その一方嬉しいことが2つあった。今まで見たことがないほど美しいフラワーアレンジメントを友人たちからいただいた。
野の花・和の花を専門に扱う銀座の花店へ、友人がわざわざ出向いて細かくリクエストし、料理教室の初日のテーブルに飾れるようにと手配してくださった。十数種に及ぶ和の花たちが、洋風にしつらえた食卓の中心で、国籍を超えた秋の美しさを見事に体現してくれた。その可憐で上品なたたずまいは、普段と変わらない料理や空間を極上のものに変えてくれたかのようだった。
こんなに心のこもったプレゼントを送ってくれた友人たちに心からの感謝の言葉を送りたい。
もう一つのうれしかった出来事は、先月帰国した兄夫婦が誕生祝いの食事に誘ってくれたことだ。夫を亡くして8年となるが、最後に身内に誕生日を祝ってもらったのがいつだったか思い出せないだけに、二人の温かい心遣いが心に沁みた。
ちなみに訪れたのは、最寄りの駅近に今年オープンした小さなビストロ 。昭和の飲食店を改装したレトロな外装と、洗練された料理がミスマッチというかかえって今風で、驚きの連続だった。随所で和のおいしさが五感をくすぐるところが心憎い。
ーー図らずも和の花や食材のすばらしさと無限の可能性に気づかされ、思い出に刻まれる65歳の祝いの月となった。