60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

倫敦2023

ホームに暮らす91歳の実母が、元日に書いたそうだ。

「クヰーンなきロンドンと

そこに住み始めた孫一家 想う

幸あれ!」

母は結婚まもない1950年代半ばに、夫である父とロンドンに赴任し、兄と私を年子で出産する。そして、1/4世紀後、父の最後の任地もロンドン。

初めての海外生活がイギリスであり、その時には既に若くてチャーミングなエリザベス女王が王位に就かれていた。そして、最後のイギリスではお目文字叶う機会もあったようだ。

そのエリザベス女王が昨秋、96歳のご生涯を閉じられた。そして偶然にも、そのわずか二日前に孫のK家族四人がロンドンに到着した。

元日にスタッフから突然小さな絵馬を渡されたとき、母の頭で自然と紡がれた言葉なのだろう。ちなみに母は「『ヰ』でなくてはダメなの。発音が違うのよ」という。

さて、昨日は私の書道教室の一日目。新年の一回目は、受講生各自が考えて(葉書に下書きして)いった字や言葉を作品に仕上げてプレゼントしてくださる。私は毎年、その時に頭に浮かんだ言葉をお願いしている。コロナ下の過去二年は、「災転福来」、「安泰」など。さて令和五年は??… 

頭に浮かび書いていった下書きを先生が素晴らしい作品に仕上げてくださった。師走に見つけたうさぎの年賀葉書が導いてくれた言葉であり、先生の誠意あふれる字だ。

「倫敦(ロンドン)」という漢字への私のこだわりを生かしつつ、漢字一文字の孫たちの名前を大きく。下書にあった「令和五年正月」は割愛し、子ウサギたちが映える一枚になった。

すぐに写メしてロンドンの息子たちに送った。「素晴らしい写真をありがとうございます!」とさっそくお正月の孫たちの写真と共に返事が届いた。

絵馬も葉書も私たち家族にとって、2023年お正月という時間を切り取るかけがえのない宝物となった。それも卯年生まれの夫が生きていたら72歳の新年という特別な年に。