60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

料理教室、学習障害、写真整理、外国との縁など徒然に

人生のお手本:みごとな80代


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先週、久々に銀座まで出かけた。友人の紹介でもう30年近く前からご縁がある漆の布作家、中嶋紫都さんの漆コレクション展に行くために。

日本の伝統工芸の中に、漆を施した布地というものがある。絹地に柄を施したり、特殊な技術で帯も織られていた。実母が愛用した漆の帯を私も使わせてもらったが、独特の張りと光沢があってなんとも味わい深い。

京都在住の紫都さんは、かつては一点ものの着物などを作られていたと聞いているが、私が出会った頃は、既に時代の先をゆき、漆とさまざまな素材とのマリアージュで現代生活にいかせる服から小物まで製作されていた。美しい和の色のグラデーションに染められたオーガンジーに金銀の漆で模様が描かれたロングストールなどは、一枚ふわりと纏うだけで平凡な服がオシャレで日本的なパーティードレスに変身!海外生活中、本当に愛用させていただいた。最近では、ビニールと合わせたモダンな作品もあり、時代の変遷と共にどんどん進化していてすごいと思う。

お会いするのは数年ぶり。変わらぬショートカットのスリムなシルエット。背筋がピンと伸びて、ジーンズと厚底サンダルに今年のロングベストの作品を纏って颯爽と出迎えてくださった。超かっこいい〜!聞けば85歳とのこと!

一人のお弟子さんとたった二人で、デザインから始まって作品に仕上げていく作業。そして今回のように東京まで運んできてデパートの一角にオシャレにディスプレー。7日間の会期中、ずっとお店に立ってエネルギッシュに接客。

「若い!!!」と感歎するしかない。

若い80代といえば、もう一人、毎週お世話になっている書道のM先生。M先生は紫都さんよりも更に少し年上。背筋は言うまでもなく、時に力強く、時にたおやかな見事なお手本を毎週書いてくださる。いずれも凛と研ぎ澄まされた書風。

書道にとどまらずM先生のすごいところは行動力。昨年夏から半年かけて、長年住み慣れた広々としたマンションを売って、今の生活に適したマンションに、たった一人で住み替えを完結されたこと。新しいマンションのリフォーム中は今時のマンスリーマンションを借りて、そこからお稽古に通ってくださっていた。エレベーターも手すりもない3階だったと言うから恐るべし!息子さんたち夫婦からの手伝いのオファーを全て辞退して、断捨離も、業者の手配も、売買契約も全てご本人。お見事!

紫都さんとM先生という素晴らしい人生の先輩を間近で拝見し、全身全霊をかけて何かを生み出す作業をストイックに続けてこられた気概と気迫が、若さの最大の秘訣なのではないかと思う。年齢を言い訳にしてはならない、と。