突然ですが『ウルスリのずず』という児童書をご存知でしょうか?
ウルスリのすず/ゼリーナ・ヘンツ, アロイス・カリジェ, 大塚 勇三|児童書 - 岩波書店
スイス国民ならばたぶん皆知っている絵本だ。児童書のノーベル賞と言われる国際アンデルセン賞の第一回授賞者となったアロイス・カリジェが絵を手掛けた本だ。ストーリーはゼリーナ・ヘンツが書いていて、二人はタッグを組んで数々の名作を生みだしている。日本でたとえれば『ぐりとぐら』の共著のような存在といえるかもしれない(兄弟関係ではないが)。
今月の教室のために食卓や部屋のしつらえを考え始めているが、スイスの国民的料理であるチーズフォンデュを作るので、手持ちのスイスグッズを動員している。その中心的テーマに据えているのが上記の本だ。
ネットで検索すると、この絵本の日本語版は2018年が初版と出ているが、それは改訂版が出された年にすぎない。数年で70歳になろうとしている私は、幼稚園の時に母に日本語で読んでもらっている。1960年代に既に岩波の子どもの本になっていたのだ。そして私よりも7歳年上の夫もまた、子ども時代にこの本や他のカリジェの本を読んでいる。
近年になって、日本を含める世界各国で、カリジェのすばらしい絵がページ一面に大きく描きだされた「絵本」になったが、60年代の本では、かなり長めの文章(ストーリー)に添えられた挿絵として配置されていた。小学生になっていた夫は自分で読んでいたのだろう。
いつの頃だったか覚えていないが、子ども時代に読んだ本について夫と話しているとき、ふたりともカリジェの挿絵が入った岩波の2冊の本を鮮明に覚えていることを知って驚いた。(7学年という年の差と男女差があると、子ども時代の共通の思い出はそれほど多くないものだ。)
そして図らずも2度もスイスに住む機会を得たおかげで、2010年には、ついに夫と二人でこの絵本の舞台となった山奥の小さな村を「ロケ地巡礼」が如く訪れることができた。それだけに、カリジェの絵が描かれた品をみつけると、少々値が張っても財布の紐がゆるんでしまうのだった、笑。


[かつては『アルプスの少女』という題で、こちらも大好きな本だった]