60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

レモングラス風味のタイ料理

首都圏のこのところの暑さと湿度、そして午後からの激しい雷雨は、40年前に住んだバンコクを思い出させる。東京ももはや熱帯の仲間入りしたのではないかと感じる。

7月の料理教室が無事に終わった。皆さんは汗だくで到着、申し訳なく思いつつただ感謝。暑かった分だけ、現地気分でタイ料理を召し上がっていただくことができた。

久々に紹介したトムヤムクン。今回はココナツミルクが入ったコクのあるタイプ。

みじん切りの生のレモングラスたっぷりとタイの調味料で味付けしたタイ風の焼き鳥。

ヤングコーンや生キクラゲ中心の野菜炒め。

どれもビールとジャスミンライスが進むおかずたち、喜んでいただけた。

そして、タイのハーブたちが間違いなく暑気払い、夏バテ防止に効力を発揮していると思う。私自身は、試作段階から教室最終日まで幾度も食べ続けているわけだが、6月から真夏日が続いたにも関わらず元気に動き回れているのは、レモングラスを始めとしたハーブやニンニク、レモン汁のお陰だと思っている。

ところで今回は大きな反省点があった。仕上がったトムヤムクンを、初日の方たちにはタイ製の小鉢によそったのだが、有頭エビ2匹を入れると汁が少ししか入らなかった。エビとハーブの旨味が溶け込んだ汁もごちそうなのに。大失敗!初日の方たちに申し訳なかった。ごめんなさい🙇💦💦

一晩悩み、食器類を大々的に変えて二日後の教室を迎えた。祖母の古い大ぶりのお椀に盛ってみたら大正解!

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器と料理の合わせ方に柔軟性がある方だと思っていたが、まだまだ頭が固かったわけだ。塗りのお椀に100%タイの汁物を盛り込む発想に至らなかった。

今回の失敗を次に生かさねば!と思う。f:id:bistrotkenwood:20240726175553j:image

11年目に突入


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夫の10回目の命日月が終わった。振り返ると悲喜こもごも内容がぎっしりつまった10年だったと思う。その間に独り暮らしも板についた。

6月も相変わらず貧乏暇なし。料理教室4回、毎回6時間のルームスタイリスト講座を3回、写真関連業界のイベント、そして月末には自宅で写真整理のワンデー講座まで。他にもコンサート、友だちとの時間ーー「僕がいない方がよっぽど楽しめてるんじゃない?」と言われそう😅

いや、そんなことはない。先日のスイスの名品チーズを味わい、そして今日、親しかった方から届いたスイスのニュースレターを読んで、夫がいたらこの10年は、スイスとの繋がり一つとっても、全く違うものになっていただろうとしみじみと思った。

昨日は、「(病に臥せていて)遅ればせながら」との前置きと共に夫の同僚からご丁寧な命日のご挨拶のメールが届いた。毎年必ずくださる方だ。「ご存命であれば(世界情勢について)ご意見を伺いたかったところです」と結ばれていた。

しかし、「もし(生きていたら)…」と言っていても仕方がない。11年目に入った今、永遠に63歳の夫を後ろに残して、一人で前に進み、歳を重ねていくしかない。それならば二人分楽しみつつ、有意義にすごさねば!

 

写真整理のOne-day講座とスイスの名品チーズ

4回の料理教室が無事に終わって一段落した今日、写真整理のOne-day講座を自宅で開催した。

ワンデー形式は先月末に続いて2回目だ。親友が二人の友人を誘って参加してくれ、それに地元のママ友も加わって4名。

朝の10:30〜夕方4時過ぎまでの長い1日。ワンプレートランチと夕方のティータイム付き。

料理と違う私のもう一つの情熱を傾ける世界、アルバムを作るという喜びを感じとっていただけたようでうれしい。

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ところで、ランチに最高にうれしいサプライズの差し入れがあった。

スイスのユングフラウ鉄道日本事務所長をされているMさんが昨日スイスの出張から持ち帰ってプレゼントして下さった「テット・ド・モワン」という硬質のチーズ。ジロールという専用の道具でひらひらと薄く削ぐように切り出していく。さっそくランチタイムにみんなでいただくことに。真空パックを開けて台にセットし、削ぎ方を知っている方にクルクルとしていただく。できたできた、カーネーションのような繊細な姿💗

口に含むとフワーッと香りと旨みが鼻に抜けていく。美味しい!これぞスイス!さすが産地直送!

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皆さんが帰られた後、ラップに包む前にもう一度白ワインと共に楽しむ。プルーストのマドレーヌではないが、スイスでの楽しかった日々が脳裏に次々と甦ってきた。

6/23は夫の10回目の命日だった。無宗教なので供える仏壇はないが、心の中で夫と共にスイスの思い出巡りをした。

Mさん、ありがとう!

そしてまた、今日参加してくださった皆さんにも、充実した楽しい1日にしてくださったことに心から感謝です。

 

ルームスタイリスト

あらたな分野の講座を受けている。特定非営利活動法人 ハウスキーピング協会傘下のルームスタイリスト協会の2級と1級の認定講座だ。一昨日、1級を受講し、また今日、2級の認定書が届いたところだ。私が所属する写真整理協会の月例通信に紹介されていて、浅川代表理事ご自身が受講され、勧められていたのがきっかけだった。

今回の二つの講座は、ルームスタイリスト協会代表の三ツ井さくら先生が講師をされるという願ってもないチャンス!多岐にわたる内容を事例やご経験を交えながら分かりやすく、そして楽しく進めてくださった。

自宅で料理教室を主宰し、毎月のメニューとテーマに合わせて、手持ちの食器やリネンや雑多な小物類を駆使して食卓の上にとどまらない空間演出を心掛けている者として、非常に興味ある分野だ。2級1級と受講してみて、海外などでの経験と、自分の勘と直観力だけがたよりだったスタイリングが、理論で裏付けされ、補完されたと感じ、非常に勉強になった。今月末に開催されるプロ養成講座も受講予定だ。

2級1級もそれぞれ6時間の一日講座。座学だけではなく、はさみと糊と色鉛筆などを使ったワークがたくさん盛り込まれていて、まるで小学生の図工教室のような楽しさもある。また、たくさんの色や形の中から無造作に選んでレイアウトして仕上げた「作品」には、「自分の好き」や「心地よく感じる」要素が反映されている(←これらが一番大切なキーワード😃✌️)。好みの色やトレンドなど、自分でも気づいていない場合すらあるから興味深い。ワークが仕上がるたびに、各自が自分の作品の好きな部分やこだわりについて発表しあう。これまた十人十色、実におもしろい。

一昨日の終盤のワークは、各自が持ち寄った雑誌を切り抜いてのコラージュづくり。限られた時間内で目にとまった写真や言葉を切り抜き、レイアウトして貼り付けていく。専門的にはビジョンマッピングというらしい。これまた深層心理を読み解くような、心理療法的な作業だ。私など、他の4名の受講者に比べてゴチャゴチャ…冷汗。しかし帰宅後、冷蔵庫にペタッ、笑。

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料理教室と写真整理とルームスタイリスト。興味を広げ過ぎている気もするし、ビジネスに結びつく可能性は心もとない。しかしどれも「わたしの好き」な領域。それらの接点で、今以上に周りの人たちに、心地よい幸せな空間と時間、そしてそのノウハウを発信していけたらというのが願いであり夢だ。

 

 

人生のお手本:みごとな80代


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先週、久々に銀座まで出かけた。友人の紹介でもう30年近く前からご縁がある漆の布作家、中嶋紫都さんの漆コレクション展に行くために。

日本の伝統工芸の中に、漆を施した布地というものがある。絹地に柄を施したり、特殊な技術で帯も織られていた。実母が愛用した漆の帯を私も使わせてもらったが、独特の張りと光沢があってなんとも味わい深い。

京都在住の紫都さんは、かつては一点ものの着物などを作られていたと聞いているが、私が出会った頃は、既に時代の先をゆき、漆とさまざまな素材とのマリアージュで現代生活にいかせる服から小物まで製作されていた。美しい和の色のグラデーションに染められたオーガンジーに金銀の漆で模様が描かれたロングストールなどは、一枚ふわりと纏うだけで平凡な服がオシャレで日本的なパーティードレスに変身!海外生活中、本当に愛用させていただいた。最近では、ビニールと合わせたモダンな作品もあり、時代の変遷と共にどんどん進化していてすごいと思う。

お会いするのは数年ぶり。変わらぬショートカットのスリムなシルエット。背筋がピンと伸びて、ジーンズと厚底サンダルに今年のロングベストの作品を纏って颯爽と出迎えてくださった。超かっこいい〜!聞けば85歳とのこと!

一人のお弟子さんとたった二人で、デザインから始まって作品に仕上げていく作業。そして今回のように東京まで運んできてデパートの一角にオシャレにディスプレー。7日間の会期中、ずっとお店に立ってエネルギッシュに接客。

「若い!!!」と感歎するしかない。

若い80代といえば、もう一人、毎週お世話になっている書道のM先生。M先生は紫都さんよりも更に少し年上。背筋は言うまでもなく、時に力強く、時にたおやかな見事なお手本を毎週書いてくださる。いずれも凛と研ぎ澄まされた書風。

書道にとどまらずM先生のすごいところは行動力。昨年夏から半年かけて、長年住み慣れた広々としたマンションを売って、今の生活に適したマンションに、たった一人で住み替えを完結されたこと。新しいマンションのリフォーム中は今時のマンスリーマンションを借りて、そこからお稽古に通ってくださっていた。エレベーターも手すりもない3階だったと言うから恐るべし!息子さんたち夫婦からの手伝いのオファーを全て辞退して、断捨離も、業者の手配も、売買契約も全てご本人。お見事!

紫都さんとM先生という素晴らしい人生の先輩を間近で拝見し、全身全霊をかけて何かを生み出す作業をストイックに続けてこられた気概と気迫が、若さの最大の秘訣なのではないかと思う。年齢を言い訳にしてはならない、と。

 

今年のGW


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GWの最終日から今日でちょうど1週間。その間に駆け抜けるように5月の料理教室2回を開催してようやく一息ついている月曜の朝。

振り返れば、例年以上に娘と多くの時間を過ごした1か月余りだった。4/8のブログに記したように、4月の教室直前に娘の親友が泊りにきた。その一か月後のGWには娘が最終日まで泊まっていった。こちらは恒例。お世話になっているグループホームの職員が休めるように、利用者たちは育成会が企画した旅行に参加したり、身内の元に帰ったりして協力する。

昨年は、初めての娘との海外旅行に備えてスーツケースや旅行グッズの買い物にあちこちでかけた。今年のGWは、娘の提案で初日に神代植物園へでかけた。私の母校に近い立地だった為、今までレジャーで訪れるという発想にならなかった植物園。熟年を迎えた今、50年以上ぶりに訪れてみてその良さに気づかされた。ちょうど芍薬と薔薇が見ごろで、武蔵野の新緑の美しさと相まって心が洗われた。森林浴しながら歩いた先には深大寺。お昼は老若男女でにぎわう門前通りで名物のお蕎麦。夜は隣の兄夫婦が今年もBBQによんでくれておおご馳走。大満足の一日となった。

翌日は、今年もまた旅行グッズを買いに午後からでかけた。夕方、「色々と付き合ってくれたお礼に」とおいしいジェラートをごちそうしてくれた。ありがとう!そのあとは、娘がチョイスしたデパ地下惣菜を買って帰って夕食。大好きな揚げ物の他、数ある総菜の中から湯葉しんじょや南蛮漬け、胡麻豆腐なども選んだ娘に突如「歳」を感じた、笑。

GW最後の月曜日は、彼女が見つけたベトナム料理店でランチをして別れ、私は付け焼刃で仕上げた宿題と買い物カート持参で書道教室へ。お稽古のあとは翌々日からスタートする教室の買い出しをし、そこからは、なだれ込むように2回の教室へと突入💦。教室当日は、爽やかな好天に助けられ、レモンや夏野菜が大活躍のコース料理を皆さんに喜んでいただけた。

さて、水・金のクラスを終えた週末は一息つける予定だったのに、思いがけない事態が発生。申し込んでいた今年のツアー旅行が「催行中止」との連絡が木曜日の夜に入ったのだ!ツアー慣れしていないのでビックリ、ショック。時間が許す限り、今からでも参加できるツアー探しにタブレットとにらめっこ。娘と連絡を取り合い、相談予約がとれた旅行代理店へ昨日ふたりで出向き、なんとか一件落着。ヤレヤレだ。

ーーなぜか一年ごとに時間が経つ早さと忙しさが増しているように感じる。これが老年期前半の証なのだろうか?

 

 

二度目の桜の季節

先週、知人のAさんから久々にメールが届いた。身内で長期の入院生活を強いられた方がいて、Aさんは東京から拠点を北国に移して、看護と仕事を両立させる日々を送られているという。

お身内は、この春めでたく社会復帰されたとのうれしい報告だった。一枚の美しい桜の写真が添えられていた。しとやかな美しさをたたえた桜が、広い水面に映り込む。Aさんの大きな喜びと、まだ続く完治までの道のりへの祈りが伝わってくる。昨年は病が発覚した時期と重なり、生涯忘れられない悲しみの桜となってしまったという。

私は、10年前の春の季節に、闘病中の夫と共に千鳥ヶ淵に近い宿舎に仮住まいし、毎日の駅までの往復で、東京屈指の桜のうつろいをくまなく眺める機会を得た。そして翌年の春には夫はこの世にいなかった。過去のブログにも書いたが、私にとっての桜の季節は、あの年で終わったようにいまだ感じている。

それだけに、レンズの手前に立つAさんの眼と心が写り込んでいるこの写真は、どんなフォトグラファーの手になる作品よりも美しい一枚として私の心の奥底に飛び込んできた。

Aさんはこの先、年を重ねるほどにますます見事な桜を愛でられるだろうと確信した。

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