今日はスイスのお隣の国に飛ぶ。珍しく1週間に2本の映画を見た。
先週の日曜日には娘と「国宝」、そして昨日土曜日の夕方に「パリタクシー」を気に入っている吉祥寺の小さなシアターで。
「国宝」については感動の言葉が書き尽くされているので省略。オーディブルで著書も聴いていたし、評判と期待を裏切らない素晴らしい映画を堪能した。願わくは、今年の流行語大賞に選ばれてほしい。

「パリタクシー」は、2022年のフランス映画。今月、その映画のリメイク版「東京タクシー」(木村拓哉と賠償千恵子主演、山田洋次監督)が封切りされるのに先立っての再上映。92歳の身寄りのない老婦人が老人ホームに入居する日に、タクシーに乗ってパリの思い出の地を巡リ、中年のドライバーに語りかけながら人生を振り返る。壮絶な過去が明かされつつ、次第に二人の心は通い合っていく。実に味わい深い映画だった。
夏前に観た仏映画「秋が来るとき」もフランスの老年女優の演技とストーリーに引き込まれたが、今回のキャストとストーリーにも心打たれ、最後には涙した。92歳の老婦人を演じた女優はなんと実年齢94歳だという!拍手喝采したい。相方の運転手役の演技も光っていた。
「秋が来るとき」は、フランスの田舎町が舞台だったのに対して、こちらはパリ。タクシーでホームに向かう日でもきちんとお化粧をして、さりげなくアクセサリーまでつけているパリのマダム。異なる美しさだが、それぞれの主人公が重ねてきた人生が顔や立ち振舞に映し出されていてその齢の厚みに魅了される。
昨日の映画を見ながら、老婦人の顔がこの夏に93歳で亡くなった母と重なった。同じ時代を生きてきた人間に通じるところがあるのだろう。ウェストがきゅっとしまったドレスとハイヒールが若かりし日の日常だった世代。母もホームに入るまでは近くの医者に行く時もきちんとお化粧をしてネックレスと指輪をつけていた。(ホームでは「アクセサリーはお持ち帰りください」と返されてしまった…)
老若男女問わずスニーカーやジーンズがかなりのシーンでまかり通る今の時代に高齢期に突入している私は、どのように人生の最終章を迎えていくのだろうか?と考えさせられた。
もちろん身なりは二の次、それよりも大事なのは、この二つの映画の主人公たちのように、いかに内面に磨きをかけ続けながら年老いていけるか?ーーこれからの大きな課題だ。
ブログ:「秋が来るとき」
https://bistrotkenwood.hatenablog.com/entry/2025/06/15/221420