60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

スペインの食卓に急遽変更😃💦

すったもんだした3月の料理教室が無事に終わった。

3月の予告としてPicard (フランスの冷凍食品専門店)の冷凍パイシートを使って3品作る初のワークショップ開催を2月下旬に発信した直後、肝心の商品が日本の全支店で在庫切れ、入荷未定ということがわかった。案内を出すまでに、何度も試作を重ねたり、具材として使う大きなカマンベールチーズを探して予約したりしていただけにショック😱⤵️⤵️

同時に代替案のメニューを急いで決めなくてはならず焦った。メインは、1月にランチ会で作った豪華版パエリアしかないと即決。しかしパエリアに合う軽やかなデザートは?…候補は、東京のフランス人宅で食べたお菓子だったが、試作を繰り返してもイメージのものに仕上がらない。結局、別のデザートに。最終案が完成したのは教室の前夜。

駆け込みで仕上げたメニューだったが、前菜のビーガンサラダからデザートまで、みんなに喜んでもらえた。振り返れば、影の立役者は、ピンチョス的に紹介したマンチェゴとメンブリージョだったかもしれない。スペインのチーズとそれに添える西洋かりんのジャム。おいしいマリアージュであるだけでなく、珍しくて洒落たおつまみになり、一気にスペインの食卓にしてくれたのだ。ヤレヤレ、よかった~

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みんなの写真整理フェスティバル


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昨日、みんなの写真整理フェスティバルというイベントの初日に参加した。私がアドバイザー認定を受けている写真整理協会主催のイベントだ。写真整理関連の企業から個人事業主まで、多くの団体が出展した。二つの会議室スペースでは様々なセミナーやワークショップが開催された。個人的には、手伝いの傍ら、普段はZOOMで交流しているアドバイザーさんたちにリアルで会うことができ、たくさんの刺激と知識を得た一日となった。

アプローチは違ってもみんなの思いは同じだ。

ーー写真は家族や撮った人の時代や歴史が詰まった大切なもの。

ただアルバムやクラウドにしまいこんで安心しきっているのは残念なこと。

見返してこそ価値があるもの。

一人でも多くの人がそのことに気づき、写真を眺め、思い出を振り返り、家族や友人と楽しめるかたちにしてほしい。

私たちは喜んでお手伝いします!ーーと。


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人生が一巡した60代の私としては、写真のデジタル化のスキルがいらない「私の人生アルバム」を同世代の友人たちに広めていけたらと願う。自分の人生を40~50枚の写真と手書きの文章でまとめあげていくプロセスの楽しさ、そして完成した時の達成感をみんなにも味わってほしい。この歳になって、自分が作り上げたものでこれほど幸せな気持ちになれることはそうないと思う。

みんなをいざなうための第一歩をどう踏みだすか?…霧の中にかすかな道標が見えた気がした一日だった。

春の来訪者 メジロ

梅にウグイスというが、野鳥観察が好きな小学生だった私は、その当時から「ウグイスじゃなくて梅の季節にいるのはメジロよね」と思っていた。

そして今日、窓辺に気配を感じ、眼を向けるといました!メジロが!

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ローズマリーの枝に止まり、小さな花の蜜を吸っている。しばらく前に最初の一輪が咲いたことをブログに記したが、先日の暖かい陽気で藤色の花が一斉に開花していた。

ローズマリーの葉の隙間に咲く花たちは、遠目には見えないほど淡くて地味。よく見つけて飛んできてくれたものだ。近所の梅の花が散ってしまったのかしら?

たった一鉢の苗の枝枝の間をくぐり抜けながら蜜をせっせと吸っていたメジロ君は、しばらくするとどこかへ飛んでいってしまった。

子ども時代は庭のボケによく来ていたっけ。ローズマリーにメジロとは時代が変わったものだ。この花の蜜、ちょっと香りが強いと思うけど、気に入ってくれたかな?

[網戸越しにしか写真がとれず残念!]

料理教室アルバム

プロヴァンス、タイ、アメリカンケーキ、フランスの新旧ホムパ料理、スウェーデン…。寒さと雨を好機と捉え、昨日は終日、家にこもって偶数月クラスの年間写真を一冊にまとめる作業に没頭した。レギュラーメンバーの皆さんにお分けするためのこの時期の恒例作業だ。

データ入力を終えてプレビューで画面を繰ると、例年以上に自分の思い入れが反映された一冊になっていた。かつて暮らした国々の食文化を取り上げるのは例年のことだが、兄たちが住んでいたスウェーデンを訪問した際に出会った料理も紹介してしまった。また、クリスマス月のしつらえは完全にブリティッシュ。昨年の私個人のハイライトは娘とのイギリス旅行。ロンドンで息子家族に会えた上、私が生まれた病院を訪れることができた2023。

その一方、夫が大好きだったプロヴァンスの絵皿のページまで。老後二人で、プロヴァンスの料理とワインで思い出話を楽しみたいとフランスに住んでいた時に買ったものだ。

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自己満足のための料理教室といわれそうだ。それにも関わらず、長年にわたり参加し続け、夫を亡くして独り暮らしとなった私を応援してくださっている皆さんの存在の有り難さを改めて噛みしめている。

ーー毎年仕上がるこのアルバムシリーズは、もう一つの自分史なのかもしれない。

 

ビーツの魅力

2月の料理教室が無事に終わった。

スウェーデンの国民食、ミートボールのクリーム煮をメインに、冬の北欧風メニュー。リンゴンベリーという赤い実のジャムとマッシュドポテトと一緒に食べる。日本人にとっての肉じゃがのような存在、ご馳走ではなくソウルフードだ。

前菜には、スパイスのほのかな香りがアクセントの自家製のビーツと卵のピクルス。卵のピクルス?それもピンク色??? 日本人の私たちには味も姿も奇想天外に思えるが、クラシックな組み合わせだ。現に60代の私は娘時代に外国のレシピ本で見つけて作ったのが始まりだ。ビーツはピクルスにすると、その土くささが美味しい個性へと昇華し、濃いピンクのエキスが目にも鮮やかな色の卵に染め上げてくれる。

ビーツは「畑の血液」といわれるほど栄養価が高く、卵もまた「完全食」と形容される食材だ。両方をピクルスにすることによって、寒さの厳しい冬を乗り切る天然のサプリメント、いやそれ以上の役割を果たしていたのだろう。もう一つのビーツの名物料理を生んだウクライナにも、日本の東北地方にも、フランスのノルマンディー地方にも、人々の知恵がつまった郷土料理があるように。

 

私の立春

大雪に見舞われた東京もようやく明るい晴れの朝を迎えた。窓辺の胡蝶蘭をみると、つぼみが少し開きはじめていた。コロナのパンデミックが勃発する直前の2019年12月に、かつて夫ともどもお世話になったアメリカ人のP氏からいただいたものだ。最低限の世話しかしてこなかったのに、けなげに毎年蕾をつけてくれる。

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もう一方の窓の外を見たら、これまた放置状態のローズマリーに花が一輪!少し前から、ツンツンと立ち並ぶ枝先にラベンダーのようなつぼみが姿を表し、「こんな寒い時期に咲くの?!」と驚きつつ眺めた。


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ローズマリーといえば温暖な南仏のイメージだけに、柵越しに眼下に見える庭の残雪とミスマッチ。こちらもなんともけなげな!と感心してしまった。夫が愛した南仏を象徴するハーブの花が、こんなに寒い中でも春を感じて咲いたのだ。大雪で時間が2日間止まったかのような我が家。今日が私にとっての立春だ。

そして今夜、4年ぶりに日本で開催されるレセプションに、P氏が再び招待してくださった。夫が他界してまもなく10年、なんと義理がたい方だろう!

点と点が見えない細い糸で繋がったような、不思議な感傷に浸った「立春」の朝だった。

 

 

木ベラーー「わたしの台所物語」

今朝のNHKの「あさイチ」をご覧になられたでしょうか?「わたしの台所物語」がテーマ。このテーマで応募した視聴者の中から選ばれた男女三人、全く違う家族の歴史を歩んできた方々の台所を訪問しての取材。まさに三人三様、十人十色。ウンウンと大きくうなずく言葉あり、ジーンと胸に迫る場面あり…、それぞれに書きたいことが沢山ある。しかし今日のところは、登場した一人目の「ひろみさん」が握りしめていた使い込まれた木ベラに感化されての私の思いを書きたいと思う。

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ーーというのは、昨日偶然にも、同じような木ベラを握って、家族の歴史を振り返りながら料理を作っていたからだ。あるグループからのリクエストで、実母の十八番だったパエリアをメインにしたランチ会を開催した。料理教室では、皆さんの家庭にある大きめのフライパンや身近な食材でもできる作り方をお教えしてきたが、昨日は久々に母から受け継いだ直径38㎝ある大きなパエリアパンにお米3カップ(600㏄)分とワンランク上の食材を使ったパエリアを作った。そこで登場したのが、普段ほとんど使わなくなっていた古い木ベラ。パエリアにはコレ!と母が言っていたわけではないのだが、テフロン加工されていない母のパエリアパンで調理するとき、一番使い勝手がいいのだ。結婚後の40年以上の間に「わたしの愛用のヘラ」は別の3本に落ち着いていたし、それぞれに年季が入った姿になっている。しかし、ノスタルジーからではなく、単に実用性からの理由で、もっと古い木ベラを手に取った。肉に焼き目を付けたあとに玉葱を加えて炒める段になり、なべ底のおいしそうな肉のコゲを野菜に絡ませながら「やっぱりコレしかないわよね~」と呟いた。

そして一夜明けて見た「ひろみさん」の木ベラ。年季の入りぶりも形も同じだ!「やっぱりそうよね~」とおもった。更に、数日前に作成したメニューカードの言葉にハッとした。

「――家族の歴史がつまった一皿ーーパエリア・コマツ風2024」

そう、料理だけではなく、道具にも歴史がつまっていたのだ。

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ちなみに「母の十八番のパエリア」というブログを、コロナのパンデミックで世界中が戦々恐々としていた2020年5月に書いている。今日読み返してみて、いくら皆さんが絶品と誉めてくださっても、私は母のパエリアを作れないし、超えられないと改めて思った。だから一ランク下の私流という思いを込めて「(旧姓ではなく)コマツ風」としてみなさんに紹介しているのだ。

https://bistrotkenwood.hatenablog.com/entry/2020/05/11/175102