60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

二度目の桜の季節

先週、知人のAさんから久々にメールが届いた。身内で長期の入院生活を強いられた方がいて、Aさんは東京から拠点を北国に移して、看護と仕事を両立させる日々を送られているという。

お身内は、この春めでたく社会復帰されたとのうれしい報告だった。一枚の美しい桜の写真が添えられていた。しとやかな美しさをたたえた桜が、広い水面に映り込む。Aさんの大きな喜びと、まだ続く完治までの道のりへの祈りが伝わってくる。昨年は病が発覚した時期と重なり、生涯忘れられない悲しみの桜となってしまったという。

私は、10年前の春の季節に、闘病中の夫と共に千鳥ヶ淵に近い宿舎に仮住まいし、毎日の駅までの往復で、東京屈指の桜のうつろいをくまなく眺める機会を得た。そして翌年の春には夫はこの世にいなかった。過去のブログにも書いたが、私にとっての桜の季節は、あの年で終わったようにいまだ感じている。

それだけに、レンズの手前に立つAさんの眼と心が写り込んでいるこの写真は、どんなフォトグラファーの手になる作品よりも美しい一枚として私の心の奥底に飛び込んできた。

Aさんはこの先、年を重ねるほどにますます見事な桜を愛でられるだろうと確信した。

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