コンポステラへの巡礼の道について書いたが、それぞれの宗教に、それぞれの巡礼の道があると改めて感じている。
日本でも古くからお伊勢参り、熊野詣などがある。
ヨーロッパ・キリスト世界の場合、多くの信者は、遥かエルサレムではなくコンポステラを目指すことになる。一極集中型の巡礼と言えようか。
[左下に聖地コンポステラがある]
近年では、この巡礼の旅は一種のブームとなっていて、信者以外にも世界中から多くの人が聖地を目指して歩く。私の親戚夫婦(信者ではない)も、数年前、何日もかけて300キロ以上歩いて聖地入りを果たしたと語ってくれた。
フランスに住んでいたとき、運転好きの夫と様々な地方に旅をした。そうして訪れた町や史跡を散策しているとき、石畳に金色のホタテ貝の印が埋め込まれているのにたびたび遭遇した。「へぇ~、ここもコンポステラへの巡礼の道だったんだ」と思ったものだ。
[南西部のカオール市にある史跡指定された橋の上で発見!(手前下)]
サンティアゴ・デ・コンポステーラという地名だが、スペイン語の「サンティアゴ」は、フランス語では、サンジャック、英語ではセントジョセフ、そして日本語になると聖ヤコブ。キリストの使徒の一人である聖ヤコブが埋葬された場所とされている。
そして、聖ヤコブのシンボルがホタテ貝なので、巡礼にまつわる場所やものにホタテ貝が多用される。その筆頭が、石畳の中のホタテなのだ。ちなみに、最近では旅の参加者の中に、リュックにホタテ貝を何枚も吊り下げて、カラカラと鳴らしながら歩く人もいるらしい。巡礼気分が盛り上がるのだろう。
ところで、2021年は聖ヤコブの聖年だそうだ。聖ヤコブを祀る日である7月25日が日曜日に当たるからだ。例年以上にこの日を目指して世界中から多くの信者が集まってくる日となる(はずだ)。
折しも日本では、7/23にオリンピックが開幕する予定だ。
全く別次元の式典だが、コロナワクチンが効を奏し、人々がいまよりも自由に往来できるようになっていることを、世界中のどれだけ多くの人が切実に祈っていることだろう。