1月の寒い日に訪れてくださった方にボルシチを作ってお出しした。ビーツや赤キャベツを肉と共に煮込んだ寒い季節にぴったりのロシア料理だ。いや、私たちはあまり考えずにロシアと言ってしまうが、いま最もロシアとの関係が緊迫しているウクライナの伝統料理だったらしい。
ともあれ、雰囲気を出すために「ロシア風」の品々をテーブルに飾った。その中の一つが、キルギス製のフェルト状の羊毛でできた動物のぬいぐるみ。キルギス共和国の隣国のカザフスタンに勤務した友人からいただいたものだ。
温もりを感じる姿なので、これまでも冬場の食卓にたびたび登場させた。今回来てくださった方も第一声が「かわいい〜💕!」
次に、「寅年だからホワイトタイガー?」初めて聞く解釈だ。でも、たしかに…。
3番目の質問は、「キルギスってどこ???」
尋ねられると正確に答える自信が揺らぐ。
「ソ連崩壊で生まれた中央アジアの小さい国の一つ。モンゴルより西の、かつてシルクロードの通っていたところ。ほら、天山山脈って聞いたことあるでしょう?…」
NHKの名作シリーズ「シルクロード」の喜多郎のテーマ音楽と石坂浩二の朗読、そして天山山脈をバックに街道を行く取材班の映像が、60代の私の脳裏に浮かぶ。私より若い友人にはわかるかな〜?
考えてみれば、このかわいいトラくんは、相棒のヒツジくんと共に、21世紀であっても地理的に非常に遠いキルギスから、はるばる東京郊外の我が家まで来てくれたのよね。なんだかいっそう愛おしくなった。
今日から2月。あと数日で立春。想像できないほど寒さが厳しい国々に思いを馳せつつ、片付ける前に思わずカメラを向けていた。
[今朝の日だまりのヒツジくんとトラくん、「Kyrgystan」と記された素朴な袋とともに]