60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

悲劇のあと

熊澤氏に対して異例の穏便な対応が続いている。

実刑判決が言い渡され、被告が法廷をあとにする際、検察官の一人が「体に気をつけてください」と声をかけたという。
また、昨日、殺人犯であるにも関わらず、保釈が認められ、熊澤氏は保釈金を支払い刑務所を出た。

どちらも異例のことだという。
今回の事件は、検察側も、裁判所も、かなり悩んだ末に下した判決だったのだろう。「同情」という柔な言葉では言い表せないし、そもそも感情移入はあってはならない。
現代社会の隙間に潜む闇と対峙させられたからこそ、思わず口をついた言葉であり、保釈という措置となったのだろう。

被告が事務次官という官僚のトップのポストを務めた人物だったからではないと思う。ただ同時に、それだけの冷静な判断能力をもつ人でさえも、我が子を殺めるほど追い詰められてしまう現代社会の歪みに、人々は気づかされた。

娘が歩んできた道、特に高校時代に在籍した全寮制の学校と、そこで出会った生徒たちのことが、今回の事件によって次々と思い出される。「紙一重」という言葉も脳裏をよぎる。

世間と行政が共に、スローガンにとどまることなく、社会の受け皿からこぼれ落ちそうになっている本人と、それを支えきれずに悩む親を、具体的に救い出せる方法を、もっともっと真剣に考える必要があると思う。
そして、救いを求める親子にその情報が届くよう、発信方法にも、更なる工夫が求められるのではないだろうか。

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