夕方になってしまったが、公園に行ってみると、無事に鯉たちが泳いでいて、ほっと胸を撫でおろした。
風をはらみ、ふっくらとしなやかに水面の上を泳ぐ姿を間近で眺めると、胸の中でモヤモヤしていたものが、スーッと抜け去っていってくれるような気がする。
ところで昨日と今日、もう一つ、目に留まったものがあった。
野生の藤の花一輪。
無人の小さな中ノ島の茂みに絡まりながら垂れ下がっていた。栄養条件が悪いのか、すぐ上に育ち損ないの花がひとつある以外は、全く花をつけていない。孤高の藤の花だ。
色鮮やかな鯉のぼりや、藤棚に豪華に枝垂れ連なる紫の花たちとは対極の姿だ。
しかし、まるでなにかを語りかけてくるような姿に、思わず足を止めてじっと見入ってしまった。
昨年の一回目の緊急事態宣言の時もそうだったが、Stay homeモードに心のスイッチが切り替わると、自然や身近なものに対するアンテナの感度が高くなるような気がする。
Stay homeにも「恩恵」がなくはない。