60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

小さな実

子どもって小さくて丸っこいものが好きだなと思う。
ドングリを楽しそうに集めた孫のJ君について書いたが、公園にたどり着く前に足を止めた場所があった。しゃがみ込んで拾ったのは小さく尖った赤い実。仰ぎ見ると、我が家にもあるアメリカハナミズキの木。今年は、彼岸花とともに季節が早く巡ってきていると感じる。
1時間後、ドングリを握りしめたJ君と共に戻ってきて、玄関の鍵を開けていると、すぐ横の大きなテラコッタに植えられた木を指さしている。J君の目のたかさの葉の陰に緑の実が一粒。奥にももう一粒。 正真正銘、食卓で見るグリーンオリーブ!
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オリーブは、品種が違う株を一緒に植えないと実がならないと読んだことがある。我が家では、実を取るために植えたわけではないので、一株しかないし、手入れも足りず、夏前に貧弱な花が少し咲いただけだった。どこかから、虫たちが花粉を運んできてくれたとしか思えない。だから、私自身も水やりをしていて、一粒のオリーブの実を見つけた時は嬉しくなった。こんなにさえない木に花粉を運んできてくれてありがとう!と心の中でお礼を言ったものだ。
J君にオリーブの説明をするのは難しかったが、葡萄と違ってそのまま食べられないとわかると、J君は緑の実を指先でつついただけで眺めていた。取ってはいけないオーラを放つ、孤高の一粒に映ったのかもしれない。
というのも、しばらく前に、少し奥の鉢に植えられた、これまた貧相なブドウの苗が小さい葡萄の実を見つけた時、J君は一粒摘んだのだ。まだ未熟な実だったが、ママへのお土産にしたいと、小さな器に入れて大事そうに持って帰った。
植物が生み出す丸く小さな実たちは、幼児の澄んだ目にはどれも宝物のように映るのだろう。
ーーそしてバァバもまた、忘れていた心の眼を開かせてもらえた気がした。