大雪に見舞われた東京もようやく明るい晴れの朝を迎えた。窓辺の胡蝶蘭をみると、つぼみが少し開きはじめていた。コロナのパンデミックが勃発する直前の2019年12月に、かつて夫ともどもお世話になったアメリカ人のP氏からいただいたものだ。最低限の世話しかしてこなかったのに、けなげに毎年蕾をつけてくれる。
もう一方の窓の外を見たら、これまた放置状態のローズマリーに花が一輪!少し前から、ツンツンと立ち並ぶ枝先にラベンダーのようなつぼみが姿を表し、「こんな寒い時期に咲くの?!」と驚きつつ眺めた。
ローズマリーといえば温暖な南仏のイメージだけに、柵越しに眼下に見える庭の残雪とミスマッチ。こちらもなんともけなげな!と感心してしまった。夫が愛した南仏を象徴するハーブの花が、こんなに寒い中でも春を感じて咲いたのだ。大雪で時間が2日間止まったかのような我が家。今日が私にとっての立春だ。
そして今夜、4年ぶりに日本で開催されるレセプションに、P氏が再び招待してくださった。夫が他界してまもなく10年、なんと義理がたい方だろう!
点と点が見えない細い糸で繋がったような、不思議な感傷に浸った「立春」の朝だった。