「あしなが育英会」ご存知だろうか? 事故や自死で親を亡くした遺児たちを半世紀にわたって支援している団体だ。
先月4月16日にニュースでも一斉に報道されたが、あしなが育英会が現在支援している全奨学生6500人に「遺児の生活と教育の緊急支援金」として15万円ずつ給付することとしたのだ。
昨日、このことを報告する特集号として、あしなが育英会の新聞が届いた。その2ページ目の玉井義臣会長の巻頭記事よると、同会は、新型コロナ感染拡大の影響を調べるため、高3の奨学生の母親500人余りを対象に、緊急アンケートを行ったという。すると、わずか10日ほどで半数以上の親から、悲鳴ともいえるような窮状を訴える回答が届いたそうだ。玉井会長の50年にわたる「あしなが運動」とその中での度重なる調査を通じても、今回の親たちからの回答は「類を見ない速さ」だったという。それだけ切羽詰まった現状なのだ。
親を亡くした片親家庭、主に母子家庭の母親たちの多くは、不安定な雇用条件の中で働いているため、今回の社会活動停止の影響が直撃し、窮地に追い込まれていることが想像できる。目前に迫る家賃や光熱費の支払いすらできない窮状から救うため、登録口座がある5000人余り奨学生には4月下旬に早くも振り込まれた模様だ。どれほど救われたことだろう。
あしなが育英会の救済支援のスピード感には、いつものことながら拍手を送りたくなる。東日本大震災直後には、親を亡くした遺児たちに届くように、日赤よりも政府よりも早く救済金を送ったのもあしなが育英会だったと思う。
その一方で、長期的なかたちでの支援も続けているところがすごい。阪神淡路大震災のあと、遺児たちが集える場、心のケアをする施設としてレインボーハウスを神戸市に設立したのをはじめ、3・11のあとも、東北三ヶ所にレインボーハウスを次々と設立し、今も遺児たちをサポートし続けている。
今回も、ニュースを聞いた時以来、「さすが、あしなが育英会!」と手を打ち、陰ながら応援を続けていきたい、いかねばならないと強く思った。
※ちなみに、玉井氏によると「15万円」という金額は、同会が2年前に奨学生家庭対象に行った調査での平均手取り月収が14万円あまりだったからだという。
緊急事態宣言が延長されることとなってしまった。21世紀の貴重な人的資源となる、志高い遺児たちのためにも、私たち一人一人の努力で少しでも早くこのパンデミックを終息させねばならない。
https://www.ashinaga.org/news/news/entry-8690.html