一週間前に母が東京郊外のホームに入った。一ヶ月の体験入居だ。
それなりに準備を進めてきたが、やはり出発前の数日と当日は大変だった。何もできないほど老いていて、こちらがすべて段取るのも大変だと思うが、母のように頭は年齢の割にはしっかりしていながら、体が思うように動かないのもややこしい。自分で持ち物を決めたい気持ちが強いのだ。
自家用車はないので、タクシーでの移動。折りたためない歩行器を積んでいかなくてはならないので、持てる荷物に限りがあるし、コンパクトにまとめなくてはならない。
ところが、出発の朝、母の方に行くと、前日までなかった風呂敷包みなどがドンとおいてある、💦💦
ーーとまあ、こんな調子で、珍道中の入居日となった。しかし、抜けるような冬の空の日。郊外に向かうから空も広くて気持ちがよい。幸先の良い兆し。
約束の11時に現地に到着。用意してくれていた台車一台では荷物が乗り切らず、スタッフがもう一台取りに行く、苦笑。
それから3時間ほど、無我夢中で持参した荷物をほどいて片づけ、自宅で生活していた時の雰囲気を、できる限り再現する。(体験入居中は、ホーム側がベーシックな家具類を揃えてくれてある)それなりに「生活感」のある空間になり、そしてまた、ホームスタッフがとても親切にしてくれるので、母は満足そう。お昼ごはんも、食べて戻ってきて開口一番に、「おいしかった。とてもおいしいのよ」
心配していた食事も合格点が取れて胸をなでおろす。
そして無事に1週間が過ぎた。その間、2度届け物に行った。コロナの為、一回目はフロントに荷物を預けただけ。二度目は、ガラケーを買い替えたので15分の面会予約を取り、会って渡せた。ガラス越ししか許されなかったり、一切面会禁止のホームもあると聞いているが、アクリルパネルが立てられたテーブルであろうと、手を触れあえる環境の中で会わせてもらえるのは有難い。特に、入居日は特例として、個室に入れてもらえたのは非常にありがたかった。(今後は部屋へは近づけない)
年末年始をまたぐ体験入居だが、もともとドライで年間行事にそれほど重きを置かない母は、当初から「(新年が自宅でなくても)かまわない」と言っていた。それも助かった。自宅では、食事と体調管理がこの一年で難しくなっていたし、いつ何が起きても不思議ではない体の状態だった。骨折や入院治療を経てホームに入るのは、本人も周りも辛くなると聞いている。
歩行器を使いつつも、自力で歩け、食べることも楽しめるうちに、こうして自主的に体験生活を始められたことは大きい。
母のところに届けものをした足で、亡夫のお墓掃除とお参りに行き、母の近況を報告し、あの世からの父のサポートに感謝しつつ、更なる応援を頼んだ。
今こうして一年を振り返ると、母と(留学準備中の)息子に振りまわされ続けた一年だった。
もちろんコロナの影響もいろいろな形で受けた。
来る年は、母、息子家族、私にとってどんな年になるだろうか?
それぞれが、置かれた立場で、健康で、元気に、ハッピーに日々を過ごせればいいと思い、そうなりますようにと願っている。
皆さまも、どうぞよい新年をお迎えくださいませ。