「タイムリー」という言葉がこれほどツボにはまった経験はそれほどない。
オミクロンがらみの出来事だ。
実家のご両親のことで急遽一時帰国している義姉が、隔離期間が終え、ご両親も落ち着かれたので、一昨日訪ねてきてくれた。「ハイ!今回のおみやげ。日本ではまだ高いと聞いたから」といって、コロナの抗原検査キット20個入りの箱をポンと渡してくれた。
(使うことはないと思うけど、心強いお守り)と思いつつありがたく受け取った。(それにしても一人暮らしで20個も?モッタイナイ)とも思った。
ところがだ。ーー 昨日は二度目の料理教室だったのだが、深夜遅くにお嫁さんのHさんからラインが入った。孫のJ君が通う保育園で陽性者が出て、J君は濃厚接触者となったので指定日まで登園を控えてほしいとの要請が来たという。ロンドンにいるJ君のパパは数週間前にオミクロンに罹患、私の実母と娘のYはそれぞれの施設で濃厚接触者となり、そして遂に孫まで!
現在Hさんは妊娠後期の妊婦なので、Hさんのこともとても心配だ。
そこでたちまち登場したのが、もらったばかりの検査キットだ。
Hさんに、前日に運よくキットをたくさんもらったことを伝えると、不安なときに自宅で母子で検査できるからありがたいとの返事。本当は今日、HさんとJ君が我が家に遊びに来ることになっていたので、用意してあった料理や食材などとともにさっそくキットを届けることにした。
さて、荷作りをする段になって初めてキットの箱を開けた。使い捨てマスクの箱くらいの大きさと軽さだが、初めて見る中身だ。あちこちに「COVID-19」とはっきりと記されている。
説明書は英語、中国語など。ただ箱ごと渡せばいいと思っていたのだが、思いのほか説明書が長い。図解入りとはいえ、私自身、幸いというかコロナ検査の経験がないので、トリセツをきちんと読み込まないと自力での検査は無理そう。海外在住経験、仕事での英語活用経験がないHさんは、受験英語がいくら優秀でもひるんでしまいそう。まして4歳の我が子の検査もするとなると…。
そこで海外歴だけは長いバァバが、説明書の空欄に簡単な和訳を殴り書きで書きこむことにした。おかげで、私の手元にキットを半分残したのだが、それを万一使うことになった時は、絵を参照するだけですぐに自信もって検査をスタートできそうだ。
Hさんの家の玄関前に荷物をすべて置くと、私の気配を察して「ありがとうございます」と内側からHさんの声。さっそく荷物を取り込み、検査キットの中味も確認してくれたようだ。夫不在の母子家庭の妊婦さん。かなり大きな安心材料となり、ホッとしたようすで感謝のメッセージがすぐに来た。
わずか48時間前には、コロナの抗原検査キットなど100%他人事と思っていたのに、これ以上ないほどタイムリーなお土産に救われた我が家だ。
義姉にただただ感謝だ。