60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

あれから10年

前回のブログから一週間経ってしまった。実は、前回の3月8日は夫の誕生日だった。この世にいたら、古希を迎える節目の日だった。10年前の還暦の誕生日は、当時住んでいたスイスで、夫が大好きだったスキーを、晴天のマッターホルンを望みながら一緒に滑って迎えた。「神様からの還暦のプレゼント」と当時のブログに書いたと思う。まさかその3年後に、この世を去るとはだれが想像しただろうか。

3月10日は東京大空襲の日。そして3月11日は東日本大震災から10年目の日。あの大震災は、思い起こせば夫の還暦を祝った三日後のことだったのだ。

欝々としながらこの1週間過ごしたわけではない。しかし、いつもと変わらぬトーンでブログを書こうにも書けなかった。さまざまな思いにふけっていた。

未曽有の大災害に見舞われて、家族を失った方々、命は助かっても生活の基盤をすべて失った方々の悲しみと絶望は、その深い傷を心に負った者にしかわからない。一瞬にして、一日にして、昨日まで当たり前と思っていた最も大切なものを失った衝撃と悲しみは、想像をはるかに超える。神様から、別れを告げる時間を与えられた自分は、何と幸せ者なのだろうとおもわずにはいられない。

この一年の、多くの死者を出しているコロナによって、自分が恵まれていたことを再認識している。コロナの犠牲となったご本人と遺されたご家族のお気持ちを思うと心が締め付けられる。

2011年から10年という歳月は確実に流れてしまった。世界的なパンデミックに見舞われた2020年から10年後の2030年もまた確実に訪れる。遺された家族にとっては時計の針が止まってしまっているのだが、時は刻々と進んでいく。私など、7歳も年上と思っていた夫の亡くなった時の年齢に5ヵ月前になってしまい、時の流れを思い知らされている。

一年ごとに春は訪れ、新しい命が生まれ、芽吹きの季節を迎える。自然が生みだす命の力と私たちの心に与えてくれる癒しの力に心の周波数を合わせ、そのかすかな電波をキャッチした時の心のトキメキを大切にすること。日々の生活の中のこのちいさなトキメキが、私にとっては一番の心の薬になってきたのではないかと思っている。

f:id:bistrotkenwood:20210315092727j:plain

 [昨日の大きなトキメキ💓

このところの暖かさで、公園の桜も一気に膨らんだ。帰宅してみた夜のニュースで東京の開花宣言を知り、大きくうなずいた。この辺りは毎年、都心よりわずかに遅れて咲き始める]