19日に今月最後の教室が終わった。「ノルマンディーの思い出」と名付けたランチ会。
11月のハイライトは、ムール貝とシードル(リンゴから作る発泡酒)。まず最初に、大鍋一杯のムール貝を香草バターで蒸し上げ、茶碗に注いだシードルで乾杯!
日本ではベルギー名物として知られるが、ノルマンディーやブルターニュ地方など、北フランスの沿岸部の郷土料理でもある。
岩手県大船渡のムール貝の養殖業者が獲った貝をその日のうちに氷詰めして送ってくれる。(到着時にもまだ氷が一杯!)
地中海風のニンニクとオリーブ油ではなく、エシャロット・バター・ハーブとワインで蒸し上げる。ふっくらとしたムール貝の優しい味に、リンゴがほのかに香る柔らかな泡のシードルが合う。土地の人が飲むときに使うような土でできたカップに注ぐと、シードルの元風景が口のなかに広がるように感じる。
メインもシードルで煮込んだ鶏肉料理。しゃれ込んだ訳ではない。ワイン作りに不向きな気候風土から生まれたお酒であり料理なのだ。
フランスと日本は、先進国のなかでも特に食文化の地域色が豊かだと思う。フランスのノルマンディーの海辺の食堂で、初めてバケツ一杯のムール貝を出され、その量の多さと直球のおいしさに驚いた日が懐かしい。
これからは、まだまだ知らない日本各地に足を運び、その土地の空気に触れながら郷土料理を五感で味わい、カモメと隣り合わせでムール貝を食べた時のような感動に浸りたいと願っている。