60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

チーズスフレとタルトタタン

去り行く11月を惜しみながら、ランチ形式で主催した料理教室のハイライトを遅ればせながらupしたい。タイトル通り、古きよきフランスの家庭料理たちのコースをお出しした。(ちなみにメインもまたクラシックな牛肉のブレゼ。ココット仕立てにしたところだけが今風)。
チーズスフレと聞くとスイーツを連想する日本人が多いと思うが、さにあらず。スイスのグリュイエールやフランスのコンテチーズなど、香り高いハードタイプのチーズがたっぷり入った熱々のスフレなのだ。
料理教室の案内から引用したいと思う。

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西洋料理の中には、今日、レストランでは出てこない、しかしお宅におよばれした時に出される料理があります。その筆頭が大きなスフレ皿でつくり、皆で(大急ぎで)取り分けてアツアツを食べるというチーズスフレです。オーブンの中でふっくらと膨らむものの、出てきた瞬間からどんどんしぼんでいくという刹那的な、そして(おなじグリエールチーズを使っているのに)フォンデュと対極の、かるーいチーズ料理です。

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刺し身用の鯛を使った季節の前菜を食べ始めるタイミングで、仕込んでおいたスフレをオーブンに。しばらくするとこんがりと焼けるチーズの香りが食卓にまで漂ってくる。25分後に、待ち構えるスマホたちの前にスフレが登場、歓声が上がる。
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カメラタイムの直後から、私は手早くよそい分け、受け取った方から熱々を食べていただく。
極めてシンプルながら(いや、だからこそ)星付きレストランでは出てこない。まして取り分けて供する大きなスフレ型でのサービスは、フランスのレストランでも私は出会ったことがない。これぞ家庭の特権というべき料理なのだ。

そしてデザートのタルトタタン。こちらはパリのカフェでも、日本のオシャレなカフェでも食べたことがある。しかし、私流の鉄の鋳型のフライパンひとつで作る元祖的(=素朴な)美味しさは、お店では食べられないと思っている。並べたリンゴを一切いじることなく強火にかけていくと、リンゴからにじみ出た果汁がバターと砂糖と絡まりあい、キャラメリゼしながらリンゴを煮上げていく。甘~いキャラメルをまとったタルトタタンには、砂糖を加えないホイップクリームをたっぷり添える。口の中も心もほっこりとしあわせに満たされる(と思う)。
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和食でも、どこの国の料理であっても、伝統的な家庭料理や郷土料理には、何にも代えがたいおいしさがつまっていると思う。
贅を尽くしたお料理に親しまれている皆さんが、こんなにも素朴なメニューを喜んでくださって、その思いを改めて深めた霜月となった。