WBCで侍ジャパンが劇的な逆転サヨナラ勝ちし決勝戦へ進出した。その準決勝中に岸田首相がウクライナに向かっているとの速報が画面に流れた。歴史に残る一日となった。
3月22日午前8時半現在、日本中のテレビはWBCまたは甲子園の野球中継を映し出しているだろう。国内のネット上でも過去の12時間は逆転勝利で沸いていることだろう。しかしこのブログで書きたいのはウクライナ🇺🇦。17日の夜、国分寺にあるホールで開催されたDiscover Ukraine in Peace というコンサートについてだ。きっかけは一本のメールからだった。
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たくさんの不思議なご縁が繋がって、
『Discover Ukraina in Peace』
ヴァイオリニスト丹羽紗絵とウクライナのチェロ奏者親子が奏でる 平和への願いを込めた新春コンサート。
たくさんの人たちに😃たくさんの音楽に🎶 助けられて続いている我が人生❤️なので、 たくさんの感謝を込めて…がんばります。
よろしかったらお出かけください😊
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メールの送り主は、我が家の近くに住む中高の同級生の佐藤美佳さん。小学生だった息子のピアノの先生。さらに、パリからの帰国後、夫が亡くなる直前までピアノの指導を受けた方。
そして、ウクライナからのチェリスト母娘は私たちが住む区内に避難して来ていることを昨年来、テレビをみて知っていた。同じ区民として是非とも駆けつけたいと思ったのだが、翌日開催の料理教室の段取りが見通せるまで決断出来なかった。そしてようやく二日前の午後、チケットを一枚購入した。
駅近の市営の会場。正面にウクライナと日本の国旗、そして一台のピアノと一客の椅子と二つの譜面台。まるでお茶室に入った時のような空気が漂っていた。黒い質素なドレスに腰下までの美しい金髪のヤーナさん、日本在住のウクライナ出身の声楽家のデニス氏、そして主催の丹羽さんと美佳さんが入場して来た。始めにウクライナの国歌「ウクライナは滅びず」。中央の長身のデニス氏が胸に手を当て朗々と歌い始めると、二列目中央の白人女性二人が立ち上がり、大きなウクライナ国旗を舞台に向けて広げた。会場のあちこちで起立する方々。最初からウクライナへと引き込まれた。そして休憩時間前にはプログラムに記されてない中、ヤーナさんが黄色い硝子器に灯された蝋燭を手に再入場し、中央の足元に置いたのちマイクを手に取った。英語で言葉少なく「祖国のために戦い命をおとした同胞たちにこの曲を捧げます。ウクライナに再び平和が訪れますように」と語り、静かな調べのウクライナ民謡を奏でた。ヤーナさんの心を映し出したような悲しい音色に心が揺さぶられた。
ヤーナさんのチェロソナタはもちろん、丹羽さんの春(=平和)の訪れを願う語りとそれに続くベートーベンの「春」の演奏、そして美佳さんの終始見事な伴奏、すべてが素晴らしかった。
プログラムが終了すると、再度全員が入場。今度は中央のデニス氏がマイクを取り流暢な日本語で心打つ挨拶をしたのちに「会場の皆さんで一緒にウクライナの国歌を歌いましょう」と、歌詞がカタカナで書かれたプログラムの裏面を示して歌い始めた。ウクライナ国旗を持つ同胞たちがさっと立ち上がり、会場じゅうにウクライナ国歌が響いた。
「ウクライナは滅びない、その栄光も自由も。モロジィ兄弟たちよ、運命は我らに微笑むだろう。私たちの敵は滅びる、太陽の下の露のように。この地を治めよう、兄弟たちよ、自分たちで。私たちは魂と体を捧げる、自由のために。示そう、兄弟たちよ、我らはコサック氏族であると」
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現在時刻: 10時12分、5回裏、日本リード3対1