今年度最後の料理教室はランチ会形式で締めくくった。昨年はウクライナとイースターを意識したテーブルアレンジにし、教室のフォトアルバムの売り上げをUNHCRに寄付した。
今年は一転して華やかなアレンジ。友人グループから成る1回目の教室がお祝い会となったので、年度末の打ち上げも兼ねてエレガントな雰囲気にした。
ハレの日の演出のために引っ張りだしたのが古い刺繍入りのテーブルクロス。昨年、ホームに引っ越した母のものを片付けていたときに見つけたものだ。エレガントな刺繍に惹かれて「モッタイナイ・ジャパン」に寄付する段ボールに入れずに手元に残した。母が海外で集めた小物やリネン類は、手放す前に料理教室で使ってあげれば、悔いが残らないと思っている。
ところがいざテーブルクロスを広げてみたら、目立つシミがたくさんあるではないか!その上、地色がかなり黄ばんでいて、とても使えそうもない状態。それでもあきらめきれず、イチかバチかで手洗いすることに。シミ落とし液で手当てしてから、大きなたらいに漬け込んだ。すると、積年のホコリ汚れなのか、たらいの水が褐色に染まった。何回もすすいでから脱水して干し、半乾きの時にアイロンかけ。繊細なクロスだけに、かなり面倒な作業だったがその甲斐あって、シミは残ったものの、クロスの往年の美しさがよみがえり嬉しくなった。
西洋の女性たちが薬を持ち歩くときに使っていた可愛いピルケースなどの細々としたオブジェをシミ隠しを兼ねつつランダムに置き、黒ずんでいた銀のカトラリーたちを磨いてセッティングした。いつしかシミは鳴りを潜めて、皆さんからクロスへの称賛だけが寄せられた。(料理もクロスに見合うよう心掛けたが主婦一人では限界があった…)
古きよき時代のものを生かすには時間と手間がかかる。「時短」とは真逆の世界だ。しかし使う者、見る者の心を豊かな気持ちで満たしてくれる。それも、しつらえをただ眺めるだけでなく、実際に食事の席で使ったときこそ、そのよさが一番味わえるものだと今回改めて学んだ。途中で断念せずに使い切れてよかった。一応洗濯してから、コンマリ・メソッドに従えば「ありがとう」と手を合わせてから断捨離かな…。