60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

東京の川のなぜなぜーーシビルエンジニアによるツアー


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タイトル通りの非常に興味深い内容のツアーに26日㈮に参加した。日本橋のたもとにある船着き場を出発し、2時間後にスカイツリーの真下が終着点という2時間の川のツアー。(株)建設技術研究所という建設コンサルタント会社が毎年この時期に企画しているものだ。コロナの間の中止を挟んで、今年で10回目。私は2015年頃に日本橋界隈でふと手にしたチラシで存在を知り興味を持ったのがきっかけ。申し込んだところ当選したのだが、急な所用ができて泣く泣くキャンセル。それ以来、何度も申し込むものの落選、今回初参加となった。多分、口コミで広がり、当選しにくくなっている模様、今回は6倍だったという。
「親水」がテーマのコースに当選したとの電話(アナログ!)をもらい、そののち、わかりやすい資料一式が送られてきて予習。そして迎えた当日。巡るルートがよくわかる手の込んだ地図が渡され、日本橋の船着き場で乗船。定員12名?でアメリカ製の小さな電気駆動の舟(電力では最大時速10㎞/時という。隅田川ではさすがにエンジン使っていた)。参加者は6名(まだコロナのため人数を制限しているとのこと)。電動で静かなので、案内役のエンジニアさんもマイク不要。細い川をすべるように進む。
土木の専門家が解説してくれるから非常に内容が濃くておもしろい。日本にとどまらず、かつては人も物資も水路が最大の輸送手段。江戸の町の発展と共に拡充していった水路。今日に至る墨田川と荒川流域に縦横に走る天然と人工の川たちとその周辺の整備の変遷をゆっくりと水面から眺めながら確認していった。川と川が直角に交わる「川の交差点」があったり(信号はない、笑)、東西に走る小名木川にある扇橋閘門(コウモン)というプチ運河まであることを知る(ここには信号があった)。高度成長期の地盤沈下による墨田川側と荒川側の水位差を調節するために1970年代に作られたものという。東京都職員が日中常駐していて、船が通るたびに水門の開閉をしてくれる。何事も予約なしでは門前払いされてしまうような今の時代において、通行料・予約なしで手間と時間のかかる操作をしてくれる。東側の地盤沈下による水位の違い(なんと2.5mくらい!)も実感できた。
今回のツアーに参加して、シビルエンジニアの世界の専門家たちが地道に行っている仕事、私たちの暮らしのインフラを整備するためのたゆまぬ努力を垣間見、知ることができたのが最大の収穫だ。私たちが「当たり前」と捉えてしまっているこの分野について、もっともっと知っているべきだと強く感じた。
この小さな電動の舟(日本に数隻しかないレアな米国製の舟らしい)を借り上げ、シビルエンジニアたちが手厚くアシストし講義してくださるという”熱い”専門家集団によるレアなツアー。それなのに無料、毎年わずか72名(6名x12回)とはなんとも申し訳なくもったいない。もっと多くの人が知るにはどうすればいいのだろうか?と生まれ育ちが東京の一都民として真剣に考えてしまう。
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