60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

J 君と天ぷら

今ごろになって夏休みの思い出の備忘録的ブログですがどうかご容赦を。直後からずっと書きたいと思いつつ、当時はあまりの忙しさにタイミングを逸してしまいました。

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海外に駐在している息子家族が今夏に我が家に一時帰国した。帰国する前から「J君がバァバの天ぷらを食べたいって言っているんだよね」とライン電話で息子がいう。「えっ?作ったことあったっけ?天ぷら、苦手なんだけど」と私。更に帰ってくるより先に、5歳のJ君から「ばあばのごはんがたべたいです」と初めて見る可愛らしいひらがなの手紙が航空便で届いた。天ぷらそばの絵と「てんぷら、つゆ」という文字まで書き込まれている。


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料理を教える立場にありながら、天ぷらは経験値が低く苦手なのだ。それには私なりの訳がある。まだ私が十代だったころ実母が糖尿病と診断された。医者からは揚げ物全般が避けるべき料理といわれ、その中でも天ぷらはレッドカード。それ以来、遺伝的リスクがある私も食べることも含めて敬遠するようになり、揚げたことがないまま大人になってしまった。

結婚後は、毎年の年末年始に夫の母が我が家で過ごすとき、年越しそばと共に供するため、天ぷらを作るようになった。でも年に一度だけ。近年では、大みそかに娘と二人で天ぷらそばをたべる年がある。もしかしたらその時の粉の残りで、エビ好きのJ君に、そばのおかずにとエビを揚げたことがあったのかもしれない。

それにしてもJ君から初のラブレターが届き、天ぷらラブコールがかかったからには作るしかない!

普段は一人暮らしの私には、暑い中での怒涛のような毎日だったが、少しだけゆとりがある日の夕食に作ることにした。といってもお惣菜天ぷらだ。エビと舞茸(と新しい粉と油)だけ買ってきて、あとは冷蔵庫に残っていたさつまいもやカボチャなどの夏野菜、少量の桜エビや三つ葉なども駆使して、まかないかき揚げも作った。日本の味と香りを少しでも多く食べてもらいたい一心に。

ありあわせの食材ながら色も味も変化に富んだ天ぷら定食の出来上がり!いつもは少食のJ君が目を輝かせ、美味しそうに完食してくれた!嫁のHさんもおいしいおいしいと食べてくれた。Hさんが写メしてロンドンの息子に送ると「いいな~」と珍しくすぐに返信が届いた。

バアバは「やったー」と心の中でガッツポーズをしつつ、夏休みの一番手強い宿題を終えた気分だった。それも夏休みの前半で達成できた満足感。夏の終わりまで苦手な宿題を残すと、焦るばかりで決して良い結果にならないですものね、笑。

※注:レッドカードは50年以上前の話だ。今では体に良い油もいろいろと出ているので、糖尿病と天ぷらとの関係はかつてほど悪くないのかもしれない。