60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

ビーツの魅力

2月の料理教室が無事に終わった。

スウェーデンの国民食、ミートボールのクリーム煮をメインに、冬の北欧風メニュー。リンゴンベリーという赤い実のジャムとマッシュドポテトと一緒に食べる。日本人にとっての肉じゃがのような存在、ご馳走ではなくソウルフードだ。

前菜には、スパイスのほのかな香りがアクセントの自家製のビーツと卵のピクルス。卵のピクルス?それもピンク色??? 日本人の私たちには味も姿も奇想天外に思えるが、クラシックな組み合わせだ。現に60代の私は娘時代に外国のレシピ本で見つけて作ったのが始まりだ。ビーツはピクルスにすると、その土くささが美味しい個性へと昇華し、濃いピンクのエキスが目にも鮮やかな色の卵に染め上げてくれる。

ビーツは「畑の血液」といわれるほど栄養価が高く、卵もまた「完全食」と形容される食材だ。両方をピクルスにすることによって、寒さの厳しい冬を乗り切る天然のサプリメント、いやそれ以上の役割を果たしていたのだろう。もう一つのビーツの名物料理を生んだウクライナにも、日本の東北地方にも、フランスのノルマンディー地方にも、人々の知恵がつまった郷土料理があるように。

 

私の立春

大雪に見舞われた東京もようやく明るい晴れの朝を迎えた。窓辺の胡蝶蘭をみると、つぼみが少し開きはじめていた。コロナのパンデミックが勃発する直前の2019年12月に、かつて夫ともどもお世話になったアメリカ人のP氏からいただいたものだ。最低限の世話しかしてこなかったのに、けなげに毎年蕾をつけてくれる。

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もう一方の窓の外を見たら、これまた放置状態のローズマリーに花が一輪!少し前から、ツンツンと立ち並ぶ枝先にラベンダーのようなつぼみが姿を表し、「こんな寒い時期に咲くの?!」と驚きつつ眺めた。


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ローズマリーといえば温暖な南仏のイメージだけに、柵越しに眼下に見える庭の残雪とミスマッチ。こちらもなんともけなげな!と感心してしまった。夫が愛した南仏を象徴するハーブの花が、こんなに寒い中でも春を感じて咲いたのだ。大雪で時間が2日間止まったかのような我が家。今日が私にとっての立春だ。

そして今夜、4年ぶりに日本で開催されるレセプションに、P氏が再び招待してくださった。夫が他界してまもなく10年、なんと義理がたい方だろう!

点と点が見えない細い糸で繋がったような、不思議な感傷に浸った「立春」の朝だった。

 

 

木ベラーー「わたしの台所物語」

今朝のNHKの「あさイチ」をご覧になられたでしょうか?「わたしの台所物語」がテーマ。このテーマで応募した視聴者の中から選ばれた男女三人、全く違う家族の歴史を歩んできた方々の台所を訪問しての取材。まさに三人三様、十人十色。ウンウンと大きくうなずく言葉あり、ジーンと胸に迫る場面あり…、それぞれに書きたいことが沢山ある。しかし今日のところは、登場した一人目の「ひろみさん」が握りしめていた使い込まれた木ベラに感化されての私の思いを書きたいと思う。

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ーーというのは、昨日偶然にも、同じような木ベラを握って、家族の歴史を振り返りながら料理を作っていたからだ。あるグループからのリクエストで、実母の十八番だったパエリアをメインにしたランチ会を開催した。料理教室では、皆さんの家庭にある大きめのフライパンや身近な食材でもできる作り方をお教えしてきたが、昨日は久々に母から受け継いだ直径38㎝ある大きなパエリアパンにお米3カップ(600㏄)分とワンランク上の食材を使ったパエリアを作った。そこで登場したのが、普段ほとんど使わなくなっていた古い木ベラ。パエリアにはコレ!と母が言っていたわけではないのだが、テフロン加工されていない母のパエリアパンで調理するとき、一番使い勝手がいいのだ。結婚後の40年以上の間に「わたしの愛用のヘラ」は別の3本に落ち着いていたし、それぞれに年季が入った姿になっている。しかし、ノスタルジーからではなく、単に実用性からの理由で、もっと古い木ベラを手に取った。肉に焼き目を付けたあとに玉葱を加えて炒める段になり、なべ底のおいしそうな肉のコゲを野菜に絡ませながら「やっぱりコレしかないわよね~」と呟いた。

そして一夜明けて見た「ひろみさん」の木ベラ。年季の入りぶりも形も同じだ!「やっぱりそうよね~」とおもった。更に、数日前に作成したメニューカードの言葉にハッとした。

「――家族の歴史がつまった一皿ーーパエリア・コマツ風2024」

そう、料理だけではなく、道具にも歴史がつまっていたのだ。

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ちなみに「母の十八番のパエリア」というブログを、コロナのパンデミックで世界中が戦々恐々としていた2020年5月に書いている。今日読み返してみて、いくら皆さんが絶品と誉めてくださっても、私は母のパエリアを作れないし、超えられないと改めて思った。だから一ランク下の私流という思いを込めて「(旧姓ではなく)コマツ風」としてみなさんに紹介しているのだ。

https://bistrotkenwood.hatenablog.com/entry/2020/05/11/175102

ビッグ・ベン

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先日、ロンドンに住む息子から一枚の写真が届いた。ビッグ・ベンを背景にした家族写真。深々とかぶった毛糸の帽子から、ヨーロッパの冬、ロンドンの冬の寒さが伝わってくる。

昨年6月に娘と訪れ、私のルーツ(生まれた病院)を辿っただけに、以前よりも身近に感じるロンドン。

2012年の冬にも、当時住んでいたパリからユーロスターに乗って大学生の息子と訪れている。あのときも寒波襲来でとても寒かったのを思い出す。反対に昨年の娘の時は、異常な猛暑日だった…。

それぞれの思い出の写真を並べて見入った。

家族の歴史の中で幾度も登場するイギリスに、息子たちが住む縁を得たことに感謝!

あけましておめでとうございます

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新年おめでとうございます。

元日の石川県を中心とした大地震に続いて二日の飛行機事故が重なり、ショッキングな天災や人災による2024年の幕開けとなってしまいました。日本にとって、世界にとって、今年はどんな一年になるのでしょう? この三ヶ日が、これからの一年で最悪の三日間であってほしいと願います。

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さて、我が家では異例尽くしの年末年始となった。正月料理作りは最低限にし、12/30~1/3まで滞在していた娘のリクエストを中心にすごしたからだ。12/30は夕方から丸の内へ。ライトアップを楽しんだ後、23年のハイライトが英国だった我が家の〆として、娘が選んだビール専門の居酒屋で二人忘年会。フィッシュアンドチップスで一年を締めくくった(笑)。年が明けた元日は、みなとみらいへ。アニタッチという動物とのふれあいを楽しむ室内施設と、英国から一転してハワイアンのランチ(「来年あたりハワイに旅行したい!」)、そして赤レンガ倉庫や山下公園。

二日と三日は、隣に兄夫婦が海外から戻ってきたこともあり、兄主導の家族のイベントとなった。一日目は兄の次男も加わって、みんなでホームの母を訪問。母は久しぶりに自分の息子とその次男に会えて大喜び。翌日は、兄の長男夫婦が昨夏生まれた赤ん坊を連れて初めてやってきた。兄たちがこうして日本の自宅で正月を迎えられるのは20年近くぶりになるのではないかと思う。逆に我が家の方は息子家族が海外暮らしとなったので、娘と私もも呼んでくれて楽しい親族の集まりとなった。

「昨日の写真を見たら、ずいぶん白髪がふえたんだね~」と兄。そう、気はまだまだ若いつもりだけどおばあさんなのだ。普段は一人で暮らしているだけに、隣に兄夫婦がいてくれることに感謝。

今年もやりたいことがいっぱいある。ケガと健康に気をつけながら色々なことにチャレンジしていきたいと思う。

今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


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[干支のドラゴンに一番近い生き物、イグアナがいた!しっぽ以外は「ふれあい」可能とのこと😅]

今年の一字


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一年前の年の瀬にも同じタイトルのブログを書いた。

https://bistrotkenwood.hatenablog.com/entry/2022/12/21/233653

ある友だちから「あなたの今年の一字は何ですか?」と尋ねられ「尽」と答えている。ブログを書いた数日後、地元のスーパーのチラシに10人くらいの店員さんの顔写真と共にそれぞれが選んだ一字が載っていて「やっぱりブームなのね」と頷いた。

それから一年。昨朝、スーパーのチラシを開いたらまたまた載っていて笑ってしまった。

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同時に「今年の私の一字はなんだろう?」と自問自答。

即座に浮かんだのは「英」。やっぱりイギリスでしょ。

昨30日の午後、娘がお泊まりグッズをかかえてやってきたあと、二人で丸の内のライトアップを見にでかけた。もはやツリーはないが上品な美しさの通りを楽しんだあと、娘がチョイスして予約しておいたクラフトビールの洋風居酒屋で一日早い歳納めの(一回目の?)乾杯🍺🎶🍺。「イギリスで飲んだみたいに、いろんなビールがあるらしいよ。それにフィッシュ・アンド・チップスもあるみたい」という娘の言葉通りだった。やっぱり私たち家族の一字は「英」だと思った。

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みなさま、一年間、この他愛もない日常を綴ったブログにおつきあいくださいまして本当にありがとうございました。

どうぞよい新年をお迎えくださいませ。

また来年もよかったらお立ち寄りくださいね。どうぞよろしくお願い申し上げます🙇

Christmas Day

 昨日の24日が日曜日だったので、多くの日本人はこの土日にクリスマスを祝ったようだ。宗教的には、本日25日がキリストの誕生を祝うクリスマスの日だ。

わたしも22日にホームパーティー、昨晩はアウェーのパーティーなど、宗教と関係なくクリスマスを楽しんだ。そして今日は休みだった娘が来てくれた。娘との🇬🇧旅行をテーマにした今年のツリーを、片付ける前に是非とも見てもらいたかったので、ご馳走を作る余力がないにも関わらず私から誘ったのだ。このところの残り物を冷凍庫や冷蔵庫から取り出して組み合わせる程度だ。それではさすがに娘に悪いと思って、乾杯のスパークリングワインと娘が好きなイチゴを買いに走り、苺はチョコでコーティングしておめかし。

何度か使って短くなった蝋燭に灯をともし、二人でささやかなクリスマスディナー🍷🌙✨。

食事を終えた頃の蝋燭は、その昔、母が使ったガラス製の蝋の受け皿に届く寸前。灯を消し、ゆらゆらと立ち上る白い煙とともに、今年のクリスマスは幕を閉じた。f:id:bistrotkenwood:20231226182308j:image


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[「残り物を残り物に見えないようにアレンジするのが、お母さん得意だよね」と娘に言われ「……😅」]