60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

2021Tokyo 写真家ドアノー展

昨日、振替休日をもらえた娘と、20世紀半ばのパリにタイムスリップしてきた。今月末までBunkamuraで開催されている「写真家ドアノー/音楽/パリ」という展覧会を観に行ったのだ。

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ロベール・ドアノー(Robert Doineau)は、報道誌やファッション誌などで働いた職業写真家だ。その一方、仕事を以外のオフの時間には、カメラを携えて、パリで暮らすさまざまな階層・職業の人々の姿と暮らしを切り取るように撮影してまわった人だ。

ドワノー氏の写真を初めて見たのは2012年。当時住んでいたパリの市庁舎で開催されていた写真展に一人で観にでかけた。とても寒い日だったにもかかわらず、市庁舎の前に長い列ができていて、彼の人気ぶりに驚かされたのを思い出す。その時のテーマは「卸売市場で働く人々」。かつてパリの中心に、築地市場のような中央市場があったが、ドアノーはそこで働く人々の姿と表情をみごとにモノクロ写真に刻みつけていた。世界が憧れる華やかなパリの陰で、夜明け前から働く別のパリの人々の生々しい姿と人間臭さに圧倒された。

それ以来、ドアノーの名前は私の心にしっかりと刻まれていた。今回も写真展を偶然に知ったのだが、なんとしても観に行きたく、緊急事態宣言の解除前だったが行くことにした。友だちを誘わずに一人で写真と向き合おうと思っていたが、娘と二人で行くことになった。

娘も、父親が社会人になって間もない1970代に語学研修と勤務でフランスに4年間暮らしたことを知っている。私たち夫婦がパリに住むことになる年の始めに、当時まだ住んでいたスイスに娘が日本から来た時に、彼女のたってのリクエストでパリ旅行を二人でした。今回の写真展へ行くことを誘ったら「HPを見てみたけれど、白黒のパリの写真、面白そう。みてみたい」と娘。

ドアノーが切り取ったパリと、写真の脇に添えられた短くも気が効いた解説文を読みながら、、二人それぞれに感慨深く見入った。私にとっては、しばしのセンチメンタルジャーニーとなった。