11月の料理教室のセッティングは、実は「始めにテーブルクロスありき」だった。7年前のフランスから帰国する直前に、偶然見つけたワインのラベルを模様にしたテーブルクロス。
一目惚れして買ってしまった。当時は、帰国後、もう料理教室を再開しないつもりだった。しかし、どうしても自分用にほしくなったのだ。
その後、夫を亡くして生活が一変し、3年前に料理教室を再開した。その時以来、いつか秋に使いたいと思っていたのだが、今年ようやくその機会が訪れた。
広げると有名ワインの名前が次々と目に留まる。買って飲む機会がない高級ワインたちだが、眺めているだけで幸せ気分になれる。
ただ料理教室では、利便性と衛生管理を考え、半透明のランチョンマットを併用するため、粋な柄の大半は、残念ながら隠れてしまう。しかし自己満足でも構わない、と開き直っている。
あちこちに葡萄が登場したので、デザート皿も母の葡萄模様のお皿を借りることにした。香り高いリキュールを使ったムースパイは、地味だが大人のお菓子。葡萄たちに囲まれてぐんとエレガントな姿になってくれた。