4月の料理教室のテーマはプロヴァンスだった。夫が大好きだったフランス南部の地方。亡くなってから一年以上、訪ねてきてくださる方々をいつもこのしつらえでお迎えした。お皿はGien製。ちょうどパリに住んでいた頃に出たシリーズで、4枚1セットの絵皿に一目惚れして、ディナー皿二枚と共に買った。オリーブの織り柄が魅力的なクロスは、帰国一ヶ月前に運良く仕事で南仏に行った時に、エクス·アン·プロヴァンスで入ったリネン類の店で見つけたもの。エクスは、夫が社会人になってからの語学研修二年目に暮らした町だ。地中海的風土や人々の気質が、夫の性格にピタリと合ったようだ。
ちなみに私たちがパリにいた頃は、帰国後に料理教室を再開するつもりは全くなかった。この絵皿とクロスは夫と二人でプロヴァンスを思い出しながら南仏料理やワインを楽しむために求めたものだった。しかし人生とは、思うようにいかないものだ。独りになって9年、料理教室を始めて6年目。教室の皆さんには初めての、私にとっては久々となるプロヴァンス尽くしのテーブルとなった。既にブログにアップした南仏の香り漂うラムのローストや、ベリーをふんだんに焼き込んだシンプルなケーキなど、明るい太陽の光がふりそそぐテラス席でカジュアルに食べたいものばかり。この一ヶ月間、ラムを焼いて皆さまにお出しした回数分だけ(珍しく5回も!)、私の心は懐かしの地方へとワープした。