60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

老いのお手本③: 千字文

昨日の書道教室に、4ヵ月ぶりに二人の男性受講生が戻ってこられた。以前のブログにも紹介した95歳のAさんと、80代のBさんだ。お二人とも自宅で一人暮らし。Aさんはコロナ自粛、Bさんは腰の手術とリハビリをされていた。どちらもお元気そうで、先生以下、迎えた女性陣4名は安堵した。

さて、お休み中、Aさんは先生への手紙の中に「毎日、書道に励んでいます。(その成果を)請うご期待」と書いていたとの事。そして昨日、手にして現れたのはーーー、楷・行・草の三書体で書かれた「千字文」だった。半紙約40枚ずつ、それぞれがきちんと紐で綴じられ、使用済みのカレンダーなどで表紙がつけられていた。

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一文字一文字、力強く、丁寧に、バランスを崩すことなく書かれていた。千字文は中国の古い漢字なので、見たことがない複雑な字が多い。不慣れな字を間違えることなく書き写していく集中力と根気に驚嘆する。コロナ自粛期間中とはいえ、3000字を、わずか4ヵ月で書きあげられたのだ。とても書道歴十年足らずの、95歳の老人の作とは思えない偉業だ。

先生は感嘆しつつ、要所要所で具体的に誉めながら、丁寧にご覧になられた。帰り際にAさんは、教室の私たちに「お時間をとってしまい、申し訳ありませんでした」と深く頭を下げて部屋をあとにされた。

以前と同じ言葉に行きついてしまうが、まるで修行僧のような生き方をされているAさんは、まさに「老いのお手本」だ。

「老いのお手本」https://bistrotkenwood.hatenablog.com/entry/2019/11/21/230342

「老いのお手本②」https://bistrotkenwood.hatenablog.com/entry/2020/02/03/204300