60からのしあわせさがし ~bistrotkenwoodの日記

徒然日記、料理教室、学習障害、お一人様、外国との縁

今年の一字

今日、ある友人からのメールで、私にとっての今年の一字は?と尋ねられた。私と同年齢の彼女は、学校で音楽教諭を続けつつ、合唱団の指導、伴奏、個人レッスンなど幅広く活躍している人だ。

「奏」が彼女の今年の一字だという。毎月奏で続けた一年だったと。すばらしい!

今年の一字は毎年師走にニュースになるが、自問したことは一度もなかった。質問に対する友人への返信メールを以下引用する。

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最後に、お尋ねの私の今年の一字。質問されるまで考えたこともなかったです。
急遽、考え、頭に浮かんだのは「尽」。
この1年、息子家族に尽くしました。(※注: 過去一年余りのブログでもかなり書いてきたので詳細はここでは省略)他にも、母や身内にも「尽」。息子たちが出発した日(9/6)の夕方から一時帰国していた兄嫁が隣(の兄夫婦の家)に。8、9月に兄嫁は日本を二往復。そして10月半ばに兄夫婦が本帰国するまでの間の空き家状態の時に、隣の家を大リフォーム工事をすることが決まり、私はリフォーム先輩役と管理小屋のオバサン役。帰国直後は兄夫婦を少々サポート。
Yさんの「奏」というポジティブな字と何という違いか!亡き夫との人生も「尽」の要素がかなり濃厚でした。学習障害児だった娘の支援も。
そうした中で、唯一、私の時間、私の世界でありつづけたのが、息子が小学校に入った年から始めた料理教室です。海外転勤で途切れつつも、今に至るまで細々と続けてこられたことに感謝しています。参加してくださる皆さんのおかげです。
私の人生の中で初めて、来年からは尽くす相手がほぼいないので、自分の道をもう少し切り開いていきたいものと思っているところです。現在、模索中。
同年齢のYさんのパワーを見習って、おっしゃる通り生涯現役でいたいと改めて思いました。
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すると、すぐにまたYさんから返信が。
>>>  Mさんのように身近な方への「尽」はどれだけ皆様を幸せに包んでいる事でしょう。そしてご自分も満ち足りた気持ちになるのでは? お互い幸せですね。<<<
ーーYさんの言葉にハッとさせられた。尽くすことで私も幸せを享受していたことに今更ながら気づかされた。Yさんを「ポジティブ」と書いた時点で、自分の立ち位置はネガティブと捉えてしまっていたのだ。しかしこの一年(そして人生)を振り返りながら確かに…と頷いた。大変だったけれど苦労のし甲斐があったことばかりだ。
みんなに生かされている今に感謝。

 

特別なイヤーオーナメント

16日(金)に今年最後の教室が終わり、翌土曜日には習い事仲間三人が遊びに来てくれ、これで自宅でのクリスマスイベントはカレンダーよりも一週間早く終わった感じだ。

クリスタルとシルバーとピンクを使ったツリーを皆さんが喜んで下さり、今年も頑張って飾った甲斐があった。(あと何年、屋根裏へのはしごの昇り降りを続けられるだろうかと思いながら毎年飾ったり片づけたりしている。)

娘から借りたベネチアの仮面は、真正面に飾ったので、皆さんの目に留まった。娘に「大好評よ」と伝えると、ハッピーなイラスト入りのラインが返ってきた。今年は娘が主役のツリーにしてよかった✨🎄✨

ピンクの仮面と並んで、今年のツリーには特別なオーナメントがもうひとつある。

スワロフスキーの2022年イヤーオーナメントだ。スイスとフランスにいた2008-2013年の間、スター型のイヤーオーナメントを毎年記念に買っていた。夫が亡くなった翌2014年のオーナメントも忘れることのできない年として入手した。

今回、数年ぶりに一個一個箱から出していたら「2017」があった。一瞬「???…」。すぐに初孫誕生記念だったことを思い出した。同時に、第二子S君が今年生まれたのに「買い忘れていた!!💦」

そして注文したのが、3Dのスターが下がるベル型。小さくても存在感ある光を放つ星がセンターに吊るされているのに一目惚れ。ベルの上部に施されたメレダイヤのようなクリスタルの繊細な輝きはお嫁さん好みだ。ボリュームと重さがあるので少し下の方の枝に飾ったのだが、ツリーライトの光が複雑に乱反射して一段と輝き、その美しさは通常のスター型を遥かに凌いだ。

S君誕生と共に、4人でロンドンへと出発した息子家族の大きな飛躍の年にふさわしい特別感に大満足。――そしてこの記念のオーナメントの報告をすると、息子たちからめずらしく「いいね!」の返事が届いた。2014も2017も2022も、きっと大切に受け継いでくれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

イギリス風料理に思う

[12月の案内文より]    今年はちょっぴり英国風のEarly Christmas Lunch。和牛のおいしさは格別ですが、赤身でヘルシーな豪州産牛ヒレ肉を生かしてクリスマスカラーのサラダ仕立てにします。少し早めにかけておくドレッシングが肉の旨味と柔らかさを引き出してくれます。

メインは、塊のサーモンのオーブン焼き料理。簡単レシピですが、ディル入りのサワークリームをはじめとするさまざまな味と食感のハーモニーがなんとも楽しいハレの日の料理です(もちろん地味にもアレンジできます、笑。また切り身を使って少人数にも対応できます。)

デザートは、English Trifle。トライフルの語源は「つまらないもの」。その言葉どおり(?)、市販の材料を上手に生かして火を使わずに簡単に作れ、しかし入れるフルーツで豪華にもtrifleにもカスタマイズできる我が家流2022年バージョンをご紹介いたします。

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今回の料理は、準備さえ調えてさえおけば、驚くほど簡単にできるものばかり。それと、オーブン以外の熱源をほとんど使わない。だから台所も汚れない。

家族や友人たちを呼んで、自宅で気軽にパーティーをする欧米人たちの知恵とテクニックと便利食材のお陰だ。

同時に、(イギリスを中心とする)アングロ・サクソン系の料理であることを強く感じた。イタリアやフランスなどのラテン語文化圏の人たちの料理と嗜好が違うのだ。

ローストビーフやサーモンが好きな人々。同じ牛ヒレでもサーモンでも「フランス人はこういう調理法や味の組み合わせはしないわよね~」「どちらかというと北欧に近いかな」などと思った。また、トライフルは、イギリス在住歴が二回ある実母の十八番だった。「おいしいけど、こんな感じだったっけ?…」私の最後の海外がフランスだったから、自身の感度と尺度が昔と変わったのかもしれない。

優劣ではない、別次元のはなしだ。

百年戦争の昔から敵対し合うフランスとイギリス。文化圏によって、食は、かくも違うものかーーとおもしろいなと思った12月の料理となった。

[ザクロにクランベリー!私もみんなも

「ヘェ~?! …けど、美味しいわ」

そして、簡単さにブラボー!]

 

2022 娘が主役のツリー✨🎄✨

12月2日に始まった料理教室を4回終え、一区切りついた。あとは、臨時の16日一回を残すだけ。

11/19に先月の最終回が終わった翌日には屋根裏からクリスマスツリー🎄やグッズを下ろしてデコレーションをスタートした。

毎年変化をつけるツリーだが、今年のテーマカラーはシルバー&クリスタル&グリーンにすると何ヵ月も前から決めていた。

過去2年は孫のJ君と飾ったので、子どもでも扱える壊れないオーナメントが大活躍した。その反動で、孫たちがいない今年はスワロフスキーのイヤーオーナメントを始め、コワレモノを多用した。

そして差し色には娘のYが大好きなピンク。きっかけとなったのは、11月に娘の部屋を訪れた時に目に留まったベネチアのピンクの仮面。「そうだ、大人のピンクを加えよう!」とひらめいた💡 。グループホーム暮らしの娘にスポットライトを当てたツリーにするチャンス到来だ。この数年間、家族の行事といえば、息子家族中心になっていたことへの母としての償いだ。

そう決まったら早い。一昨年のJ君のブルーのツリーの時と同様に、低コスト&低量?(在庫を極力増やさない)を意識してピンクのオーナメントを少しだけ集めた。娘には「仮面をセンターピースに使いたいから貸してもらえるかな?」と頼んだ。11/23に娘がクリスマスメニューを試食に来てくれるまでの三日の間にグッズを集め、ツリーと食卓のデコレーションを仕上げた。ツリー正面にセンターピースを飾るスペースを残して完成!

冷たい雨が降る中、娘は来てくれた。「あっ!ピンクだ。きれい~」「約束通り持ってきたよ♪」さっそく二人で正面に仮面を飾った。狙いどおり、いや、それ以上に、ピタッとおさまり、ツリーが仕上がった!

「いいね~」「いい感じ💕」

仮面は昨秋に娘と箱根のガラスの森美術館を訪れたときに買ったものだ。二人の目には、美術館で煌めいていた宝石のようなヴェネチアン・グラスが重なって映り、ツリーが一層輝いて見えた。

[SWAROVSKIと100均が同居する今年のテーブルセンター 😅]

[一個だけなのに仮面の引き立て役!]

誕生月

11月は誕生月だった。今年はいつもより特別なものになった。

まずは、あまり喜ばしくないが正規の高齢者になった。区役所その他機関から様々な書類が届き、その現実を突きつけられている。

その一方嬉しいことが2つあった。今まで見たことがないほど美しいフラワーアレンジメントを友人たちからいただいた。

野の花・和の花を専門に扱う銀座の花店へ、友人がわざわざ出向いて細かくリクエストし、料理教室の初日のテーブルに飾れるようにと手配してくださった。十数種に及ぶ和の花たちが、洋風にしつらえた食卓の中心で、国籍を超えた秋の美しさを見事に体現してくれた。その可憐で上品なたたずまいは、普段と変わらない料理や空間を極上のものに変えてくれたかのようだった。

こんなに心のこもったプレゼントを送ってくれた友人たちに心からの感謝の言葉を送りたい。

もう一つのうれしかった出来事は、先月帰国した兄夫婦が誕生祝いの食事に誘ってくれたことだ。夫を亡くして8年となるが、最後に身内に誕生日を祝ってもらったのがいつだったか思い出せないだけに、二人の温かい心遣いが心に沁みた。

ちなみに訪れたのは、最寄りの駅近に今年オープンした小さなビストロ 。昭和の飲食店を改装したレトロな外装と、洗練された料理がミスマッチというかかえって今風で、驚きの連続だった。随所で和のおいしさが五感をくすぐるところが心憎い。

ーー図らずも和の花や食材のすばらしさと無限の可能性に気づかされ、思い出に刻まれる65歳の祝いの月となった。

 

ムール貝とシードル

19日に今月最後の教室が終わった。「ノルマンディーの思い出」と名付けたランチ会。

11月のハイライトは、ムール貝とシードル(リンゴから作る発泡酒)。まず最初に、大鍋一杯のムール貝を香草バターで蒸し上げ、茶碗に注いだシードルで乾杯!

日本ではベルギー名物として知られるが、ノルマンディーやブルターニュ地方など、北フランスの沿岸部の郷土料理でもある。

岩手県大船渡のムール貝の養殖業者が獲った貝をその日のうちに氷詰めして送ってくれる。(到着時にもまだ氷が一杯!)

地中海風のニンニクとオリーブ油ではなく、エシャロット・バター・ハーブとワインで蒸し上げる。ふっくらとしたムール貝の優しい味に、リンゴがほのかに香る柔らかな泡のシードルが合う。土地の人が飲むときに使うような土でできたカップに注ぐと、シードルの元風景が口のなかに広がるように感じる。

メインもシードルで煮込んだ鶏肉料理。しゃれ込んだ訳ではない。ワイン作りに不向きな気候風土から生まれたお酒であり料理なのだ。

フランスと日本は、先進国のなかでも特に食文化の地域色が豊かだと思う。フランスのノルマンディーの海辺の食堂で、初めてバケツ一杯のムール貝を出され、その量の多さと直球のおいしさに驚いた日が懐かしい。

これからは、まだまだ知らない日本各地に足を運び、その土地の空気に触れながら郷土料理を五感で味わい、カモメと隣り合わせでムール貝を食べた時のような感動に浸りたいと願っている。

娘とのデート

昨日はサテライト型グループホームで暮らす娘のYと一日デート。ときどき彼女が企画してくれる。前回は、9月に彼女のお誕生日祝いで銀座へ。 今回の第一部はYが住む界隈の散策、第二部は彼女の小さなワンルームで。

最初は町名の由来となっているお寺訪問から始まった。駅近の住宅街の中にこんなに静かな佇まいの空間があるのには驚きだ。楓のトンネルを抜けると本堂がある。紅葉した頃に改めて訪れてみたいと思った。

次は駅周辺の商店街散策。中央線沿線なのだが、なかなかディープな雰囲気が漂う。彼女おすすめのガールズカフェでランチ。バァバ仲間では絶対行かない場所、見回すと高齢者どころか40代以上は私以外一人もいない。バァバの社会科見学だ、(笑)

[大人のお子さまランチが売りの、ぬいぐるみが一杯のキュートなお店だった]

お昼の後も商店街巡り。このご時世なのに物価が安い庶民の町。「今晩のためのお肉を買うから待ってて」とYが並んだ肉屋は、昼間から行列ができている。

そのあとは、あるお菓子屋さんをナビで探して訪れた。つい最近、親戚つながりがあると知ったばかりの、とてもおいしい焼き菓子を作るお店。ここまでの昭和レトロから一転して、住宅街に溶け込むように建つオシャレなお店。フランス・ブルターニュ地方で修行を積んだ若い夫婦が昨年オープンしたという。居心地のよい雰囲気と丁寧なディスプレイに、彼らのお菓子作りに対する実直な 姿勢がうかがえた。

3時過ぎに娘の部屋に到着。6畳一間に最低限のバストイレキッチンがついている狭~いワンルーム。以前よりモノであふれ、ホコリも目立つ。しかし、今日は小言は言わないと心に決めていたので黙認。

靴を脱ぐや否や「まず手を洗って」(そうそう、ちゃんとコロナ対策していてエライ!)

「さっきのお店のアップルパイでお茶しよう。何飲む?」ランチョンマットを出し、インスタントコーヒーを入れ、小さなクリーマーに牛乳を入れて出してくれた。グラニースミス(リンゴの種類)を使ったこんなにおいしいパイを食べるのは久しぶりだ。

「お母さんと見たい番組、録画してあるからみよう!」私好みの番組をセレクトしてくれてあった。1本おわったところで、「私はそろそろご飯の支度するから。お母さんは次はこの番組を観てて」「お昼は洋食だったから、夜は和食にするんだ。レンジでできるおいしい肉じゃがのレシピをみつけたの。それと鯵の干物と、鶏と大葉のつくね団子」。狭~い空間なのに楽しそうに野菜を切ったり、炊飯器をセットしたり、大根をおろしたり。一通り終えるとまた座って一緒にテレビ。

「7時にご飯をセットしたから、炊き上がったら、お魚とつくねを焼くから」(出来立てのおかずを食べられるような配慮、Goodじゃない!)

娘のゆとりある準備のようすにこちらは意表を突かれた。日頃のわたしの長時間の食事準備はいったい何だったんだろう!?と自問してしまった。

そしてすべてが仕上がった。一人暮らしだけどちゃんとお茶碗、取り皿、箸置きまで2人分あった。「見た目も大事だからね」という。「緑もあったほうがいいじゃない」と言いながら大根葉も入った肉じゃがを取り分けてくれた。

最後に現れたのは、冷凍庫でキンキンに冷やした缶酎ハイ用のアルミコップが二つ!「お母さんもやってたじゃない?」(スミマセン、今はもうグラスを冷凍庫に常備してないのよ💦)

そしてお料理のお味は…、お世辞抜きでおいしかった!肉じゃがもつくねも、炊き立てのご飯まで。

――娘に軽度ながら障害がみつかり、山あり谷ありで歩んできた30年近く。

40歳になったその娘が、いま盆地を(サポートを受けながらも)ひとりで歩いている。

感慨深い。